お菓子を作ろうと冷蔵庫からバターを出したら、賞味期限が過ぎていた。まだたっぷり残っていて、捨てるのはもったいない。焼いてしまえば使えるのか、迷う場面です。
バターは、もともと賞味期限が長い食品です。ただ、開封後は空気や光、においの影響で風味が落ちていきます。
期限切れのバターの判断のしかたを、メーカーや業界団体の案内にそって見ていきます。冷凍のしかたや、無塩バターの注意点にもふれます。
結論:期限切れのバターは、保存状態と今の状態で判断する
- 賞味期限は、未開封で10℃以下に保存した場合の目安。過ぎても、すぐに食べられなくなるわけではない
- 開封後は、表示の期限に関係なく早めに。明治は開封後2週間程度を目安としている
- カビ、油が古くなったようなにおい、ツンとしたにおい、苦みや酸味があれば使わない。迷ったら使わない
賞味期限と消費期限の違い
消費期限は、過ぎたら食べないほうがよい期限です。賞味期限は、おいしく食べられる品質が保たれる期限です(消費者庁)。
賞味期限は、過ぎても品質が保たれていることがあります。
どちらの期限も、未開封で、表示どおりに保存した場合の日付です。バターの場合は、10℃以下での冷蔵保存が前提になります。
日本乳業協会は、開封すると賞味期限は無効になるとしています。開けたバターは、表示の日付より早めに使いきります。
バターの賞味期限の長さと、期限切れの判断の目安
未開封のバターの賞味期限は、半年ほどと長めです。雪印メグミルクの例では、無塩バター(食塩不使用バター)は有塩より1か月ほど短めです。
| 種類・状態 | 日持ちの目安 | 出典 |
|---|---|---|
| 有塩バター(未開封) | 6ヵ月ほど | 雪印メグミルク |
| 食塩不使用バター(未開封) | 5ヵ月ほど | 雪印メグミルク |
| バター(未開封) | 製造日より半年ほど | 明治 |
| 開封後 | 2週間程度が目安 | 明治 |
※期限の日数は商品ごとにメーカーが決めています。手元の商品の表示を確認してください。
期限を過ぎたあとの判断は、次の表を目安にしてください。「何日過ぎたら使えない」という公式の日数はありません。
| 状況 | 判断の目安 |
|---|---|
| 未開封・冷蔵で、期限を少し過ぎた | 下のサインを確かめ、問題がなければ早めに使う |
| 開封済みで、期限も過ぎた | 風味が落ちている可能性が高い。状態を確かめ、違和感があれば使わない |
| 期限を何ヵ月も過ぎた | 公式の目安はない。少しでも違和感があれば使わない |
| 常温に長く置いて溶けていた | 冷やし直しても風味や食感は戻らない。長く溶けていたなら使わないほうが無難 |
| カビが生えている | 使わない |
※日本乳業協会によると、バターは28〜33℃で溶けます。溶けると組織が傷み、冷やし直しても元の風味や食感には戻りません。
食べないほうがいいサイン
雪印メグミルクは、次のような状態のバターは劣化している可能性があるとしています。期限内でも、同じように確かめてください。
- 牛乳らしいクリーミーな香りがしない
- 使い古した油のようなにおいがする
- 牛の飼料のようなにおいがする
- ツンとした刺激的なにおいがする
- 食べたときに苦みや酸味がある
- ナイフで削るとぼろぼろする、水滴がにじみ出る
- ポツポツとした斑点や、しま模様がある
カビが生えたバターは、表面を削っても使わないでください。農林水産省によると、カビ毒が含まれているかは見た目ではわかりません。熱に強く、ふつうの調理では減りにくいものもあります。
油のようなにおいは、空気にふれて脂肪が酸化したサインです。酸化とは、脂肪が酸素と反応して傷むことです。ひとつでも異常があれば使わないでください。
小さな子どもや高齢者、妊娠中の人、体調がよくない人が食べるなら、期限内のものを選ぶと安心です。食べたあとに腹痛や下痢、吐き気が出たときは、早めに医療機関へ相談してください。
表面の色が濃い黄色になっているのは大丈夫?
冷蔵庫で長く保存すると、バターの表面だけが濃い黄色になることがあります。よつ葉乳業によると、表面の水分が蒸発し、乳脂肪の黄色い色素が強く見えるためです。品質には影響がないと説明しています。
黄色は、乳脂肪に含まれるカロテン色素によるものです。ただし長い期間がたつと、乳脂肪が酸化して風味が落ちることがあります。
色が濃いだけなら、すぐに傷んだとは言えません。においや味に違和感があるときは、使わないでください。
バターの保存のしかた・日持ちさせる方法
明治は、10℃以下で、空気にふれないようにラップをして保存するよう案内しています。強い光を避け、においの強いものと一緒にしないことも挙げています。
バターは、ほかの食品のにおいを吸いやすい食品です。銀紙やラップを密着させ、買ったときの箱にしまいます。密閉容器に移すのもよい方法です。
使うたびに全体を出し入れせず、その日に使う分だけ取り分けます。雪印メグミルクによると、水分がつくとカビの原因になることがあります。濡れたナイフやパンくずがついたナイフで触れないようにしてください。
冷凍保存はできる?
明治とよつ葉乳業は、バターは冷凍できると案内しています。ただしよつ葉乳業は、家庭の冷凍庫は開け閉めで温度が上がりやすく、長期間の冷凍はすすめられないとしています。
雪印メグミルクは、冷凍はできるものの、おいしさの点からあまりすすめておらず、品質も保証できないとしています。冷凍するなら、早めに使いきる前提になります。
冷凍の手順は次のとおりです。
- 1回に使う分ずつに切り分ける
- 1つずつラップで、空気が入らないように包む
- さらにアルミホイルで包み、冷凍用保存袋に入れる
使うときは冷蔵庫で自然解凍します。解凍したら使いきり、再冷凍はしないでください。
期限間近・少し過ぎたバターの使い道
ここで紹介する使い方は、状態に問題がないバターに限ります。香りが少し弱くなったと感じる程度のものは、香りが主役の料理より、加熱する料理に向いています。
クッキー・パウンドケーキなどの焼き菓子
バターをまとめて使えます。無塩バターの指定があるお菓子は、期限が近い無塩バターの使い道になります。生地に入れる前に、状態を確かめてください。
ソテー・炒め物
肉や魚のソテー、野菜のバター炒めに使います。しょうゆと合わせたバターしょうゆ味は、風味の変化が目立ちにくい使い方です。
ホワイトソース・グラタン
バターで小麦粉を炒め、牛乳でのばします。牛乳も期限が近いなら、賞味期限切れの牛乳の判断のしかたも確認してください。
状態が悪くて使えなかったときは、バターがないときの代用を参考に、ほかの油脂で置き換えられます。
よくある質問
賞味期限切れのバターはいつまで使える?
確認できた範囲では、期限後の日数の線引きは公的機関もメーカーも示していません。日本乳業協会は、賞味期限を過ぎても直ちに食べられなくなるわけではないとしています。未開封で10℃以下に保存していたなら、状態を確かめて判断します。
未開封なら期限切れでも使える?
未開封で冷蔵していたことは、判断の出発点です。そのうえで、上のサインに当てはまらなければ、早めに使いきってください。途中で溶けたことがあるものは避けます。
開封済みのバターはいつまで?
開封すると、表示の賞味期限は無効になります。明治は開封後2週間程度を目安としています。期限にかかわらず、早めに使うのが基本です。
無塩バターは期限切れでも使える?
判断のしかたは有塩バターと同じです。雪印メグミルクによると、無塩バターは塩を加えていないぶん、賞味期限が短めです。開封後は、有塩・無塩とも期限に関係なく早めに使いきります。
冷凍しておいたバターの期限が切れていたら?
冷凍した場合の保存期間は、公式には示されていません。解凍後に、状態を確かめてください。違和感があれば使わず、問題がなければ加熱料理で早めに使います。
加熱すれば期限切れのバターでも大丈夫?
加熱で安全になるとは言えません。カビ毒には熱に強いものがあり、酸化して落ちた風味も、加熱で元には戻りません。加熱して使うのは、異常がないバターだけにしてください。
生クリームも残っているなら、賞味期限切れの生クリームもあわせて確認してください。
まとめ
バターの賞味期限は、未開封で10℃以下に保存した場合の目安です。期限を少し過ぎた未開封のものは、状態を確かめて判断し、問題がなければ早めに使いきります。迷ったら使わないでください。
開封後は期限に関係なく早めに使います。カビや古い油のようなにおい、苦みや酸味があれば、迷わず捨ててください。
保存は、ラップで密着させて密閉し、においの強いものから離します。使いきれないときは、小分けにして冷凍する方法もあります。



参考
- 消費者庁「食品の期限表示に関する情報」
- 消費者庁「期限表示とは」(PDF)
- 日本乳業協会「賞味期限が切れた牛乳・乳製品は食べたり飲んだりすることができますか?」
- 日本乳業協会「バターを上手に保存するにはどうすればよいでしょうか?」
- 雪印メグミルク「バターの上手な保存方法とは?」
- 雪印メグミルク「食塩不使用バター、無塩バターとは?」
- 雪印メグミルク「賞味期限・保存方法」FAQ
- 明治「バターをおいしく食べよう」
- よつ葉乳業「開封後はどのくらいで食べたらいいですか?バターの表面の色が濃くなっていますが大丈夫ですか?」
- よつ葉乳業「バターは冷凍保存できますか?」
- よつ葉乳業オンラインショップ「バターは冷凍庫で保存できる!」
- 森永乳業「バターが開封後に表面の黄色が濃くなるのはなぜですか。」
- 農林水産省「かびとかび毒についての基礎的な情報」
