味噌汁を作ろうと冷蔵庫の味噌を出したら、賞味期限が1年前に切れていた。表面は茶色っぽく、白い粒も見える。使ってよいのか迷う場面です。
味噌は発酵食品で、時間とともに色が変わります。メーカーが体に害はないなどと説明している変化もあります。ただし、その説明は期限切れの味噌を想定したものではありません。
結論:期限切れの日数の公式の線引きは見つからず、迷ったら使わない
- ハナマルキは、期限が過ぎても使えなくなるわけではないが、期限内に食べるよう案内しています
- 神州一味噌は、未開封なら期限後すぐ食べられなくなることはないが、風味が変わるとしています
- ひかり味噌は、賞味期限は未開封・表示どおり保存した場合の期限で、期限内に食べるようすすめています
- 「1年過ぎても大丈夫」といった日数の目安は、公式では見つかりませんでした
- 色が濃くなる変化は、各社が対象・条件つきで説明しています。期限切れの安全を保証する説明ではありません
- カビ、異臭、いつもと違う味があれば使わない
賞味期限と消費期限の違い
消費期限は「安全に食べられる期限」です。賞味期限は「おいしく食べられる期限」です。
どちらも、袋や容器を開けないまま、書かれた保存方法を守って保存した場合の期限です。農林水産省は、一度開けた食品は期限に関係なく早めに食べるよう案内しています。
味噌に表示されているのは賞味期限です。今回確認したメーカーの案内では、消費期限の表示は見つかりませんでした。
期限切れの味噌を使うかどうかの判断の目安
期限を過ぎた味噌について、確認できた各社の案内は次のとおりです。
| 対象 | 案内の内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 同社のみそ(賞味期限切れ) | 発酵食品で、古くから保存食として使われてきた。期限が過ぎても使えなくなるわけではないが、風味に変化が生じるので、期限内に食べてほしい | ハナマルキ |
| 未開封の味噌 | 期限を過ぎてもただちに食べられなくなることはないが、熟成が進み、風味に変化が現れる | 神州一味噌 |
| 同社の味噌(未開封・表示どおり保存) | 賞味期限は、その場合においしく食べられる期限。購入後は期限内に食べるようすすめている | ひかり味噌 |
| 同社の味噌(開封後、衛生的に保存) | 衛生的に保存している場合、賞味期限まで食べられる。乾いたスプーンですくい、水分が入らないようにする | マルコメ |
見解は少し分かれています。「すぐ使えなくなるわけではない」とする会社がある一方、ひかり味噌は期限内に食べるようすすめています。
ハナマルキの案内には、未開封か開封後かの条件が書かれていません。日数の目安は、どの会社も見つかりませんでした。
| 状況 | 判断の目安 |
|---|---|
| 未開封で、表示どおり保存し、期限を少し過ぎた | カビ、異臭、味の違和感がないか確かめる。風味は変わっているとされる(ハナマルキ、神州一味噌)。迷ったら使わない |
| 未開封で、期限を1年ほど過ぎた | 日数の目安は見つかりませんでした。使わないほうが安心です(一般的な注意) |
| 開封済み | 期限に関係なく早めに(農林水産省)。マルコメは、衛生的に保存すれば賞味期限までとしています |
| 夏の室温や日の当たる場所に置いていた | マルコメは、色が濃くなる褐変は高温下で生じやすいとしています。異変があれば使わない |
| いつ開けたか、どこに置いたかわからない | 使わない(一般的な注意) |
※「少し過ぎた」がどこまでかの公式の基準は見つかりませんでした。出典を示していない部分は、公的機関やメーカーの情報で確認できなかった一般的な注意です。
色や白い粒が気になるとき:メーカーが説明している変化
味噌の色が濃くなる変化は、「着色」または「褐変」と呼ばれます。米由来の糖類と、たんぱく質・アミノ酸が、時間と温度の影響で反応して起こる、と説明しています。
褐変は、食品の色が茶色く変わることです。各社の説明は次のとおりです。
| 変化 | メーカーの説明(対象・条件) | 出典 |
|---|---|---|
| 色が濃くなる | 時間とともに少しずつ濃くなる。糖とアミノ酸の反応(メイラード反応)による。食べても問題ない | ひかり味噌 |
| 色が濃くなる | 高温下で生じやすい。健康を害することはないが、風味に影響する | マルコメ |
| 色が濃くなる、酸味が増す | 発酵・熟成の過程で色がつき、製品化後も進む。風味も変化する。冷蔵で抑えられる | ハナマルキ |
| 赤みを帯びる | 製造後も熟成が進むため。品質には問題ない | 神州一味噌 |
| 火入れしていない商品の色が濃い | 温度状況により発酵が進み、色や風味が変わる場合がある | シマヤ |
| 表面の一部が濃くなる・うっすら黒い | 酸化による色の変化。体に害とはならない | ハナマルキ、マルコメ |
| 酸味や渋味が目立つ | 熟成・着色が進み過ぎると目立つようになる。問題ない。気になる場合は、味噌汁以外の用途(味噌漬けや炒め物など)をすすめている | ひかり味噌 |
| 白い粒(結晶) | 大豆のたんぱく質が分解してできたアミノ酸のチロシンが結晶したもの。無害 | ハナマルキ、ひかり味噌、シマヤ |
| 白い粒 | 異臭がなく白い粒なら、熟成中にできるチロシンで無害 | マルコメ |
| 表面の白い膜 | 産膜酵母という酵母の一種。無害だが、香味が損なわれる | ハナマルキ、ひかり味噌、シマヤ |
| 茶色い液体 | 「たまり」で、みその一部。無害 | ハナマルキ |
| 上にたまる液体 | 「味噌だまり」で、旨み成分。品質には問題ない | ひかり味噌 |
| 袋やカップがふくらむ | 酵母が生きている証で、食べても問題ない(ひかり味噌)。品質にまったく問題はない(ハナマルキ) | ひかり味噌、ハナマルキ |
チロシンは、熟成の途中で大豆のたんぱく質からできるアミノ酸です。産膜酵母は、表面に白い膜のように広がる酵母です。
これらは、各社が自社の味噌について、通常の保存で起こる変化として説明したものです。期限切れの味噌に当てはまるとは、どの会社も書いていません。色が濃いだけなら期限切れでも大丈夫、とは言えません。
マルコメがチロシンと説明しているのは、異臭のない白い粒です。味噌の香り以外の異臭がある白い粒は、酵母の一種と説明しています。
使わないほうがいいサイン
味噌のカビや腐敗のサインを、具体的に示した公式の案内は今回見つかりませんでした。次の状態は使わないでください。
- 青、緑、黒、赤などの、綿や粉のようなものがある
- 味噌の香り以外の、鼻を突くにおい、腐ったようなにおいがする
- 白い膜と粒の見分けがつかず、においにも違和感がある
- 糸を引く、ぬめりがある
- 口に入れて、いつもと違う酸味、苦み、えぐみを感じた
- いつ開けたか、どんな場所に置いたかわからない
※このリストは、公的機関やメーカーの情報で確認できなかった一般的な注意です。
白い膜のようなものが、産膜酵母かカビかを家庭で見分けるのは難しい場合があります。見分けがつかないときは、使わないほうが安心です(一般的な注意)。ひとつでも当てはまるとき、迷うときは使わないでください。
加熱すれば安全になる、とは言えません。加熱で問題が解決するという公式の案内は、今回確認できませんでした。
子ども・高齢の人・妊娠中の人
味噌の期限切れについて、子どもや高齢の人、妊娠中の人に向けた公的な案内は見つかりませんでした。こうした人が食べる料理には、期限内で、状態に異変のない味噌を使ってください(一般的な注意)。
体調に異常が出たら
食べたあとに腹痛、下痢、吐き気などが出たら、早めに医療機関に相談してください。重い症状のときは119番、受診を迷うときは#7119(実施地域あり)に相談できます。
味噌の保存のしかた:開封前・開封後
開封前
マルコメは、未開封でも時間の経過と温度の影響で色が変わるとしています。購入後は、未開封でも冷蔵庫での保存をすすめています。
神州一味噌は、開封前後にかかわらず、低温にすると色や風味の変化を抑えられるとしています。ハナマルキは、冷蔵で色の変化を抑えられるとしていますが、開封前後の区別は書かれていません。
ひかり味噌は、開封・未開封に関わらず、直射日光を避けて涼しい場所に置くよう案内しています。冷蔵庫での保管も問題ないとしています。
開封後
開封後は、なるべく空気に触れないようにして冷蔵庫に入れます。表面をラップで覆うと、風味の変化を少なくできます。
マルコメは、開封後は表面の乾きと酸化を防ぐため、ラップでぴったり覆うよう案内しています。冷蔵庫(5〜8℃)での保管をすすめています。
取り出すときは、水分が入らないよう乾いたスプーンを使います。
乾燥しないよう、しっかりふたをして保管します。
冷凍するとき
マルコメは、冷凍庫に入れても大丈夫としています。家庭用の冷凍庫(-20℃)では味噌は凍らず、品質を保てるという説明です。
購入時の風味を長く保ちたいときは、冷凍庫で保管する方法もあります。
ハナマルキは、商品の容器は冷凍用ではなく、割れる可能性があるとしています。冷凍用の容器に移し替えてから冷凍するよう案内しています。
冷凍で賞味期限が延びるという案内は、見つかりませんでした。
期限切れ間近の味噌の使い道
期限内に使いきれないとわかったら、早めに料理に回します。味噌汁のほか、炒め物や漬け床など、ふだんの料理で少しずつ使う方法があります(一般的な注意)。
期限を過ぎた味噌の使い道を、メーカーが案内している例は見つかりませんでした。加熱すれば使える、とする案内も見つかりませんでした。
よくある質問
味噌の賞味期限切れは食べられる?
ハナマルキは、使えなくなるわけではないが期限内に食べるよう案内しています。ひかり味噌も、期限内に食べるようすすめています。迷ったら使わないでください。
味噌の賞味期限が1年切れていたら?
「1年過ぎたら」という公式の目安は見つかりませんでした。神州一味噌は未開封でも風味が変わるとしています。迷ったら使わないでください。
味噌の色が変わったら使えない?
各社は、色が濃くなる変化を対象・条件つきで説明しています。期限切れの味噌についての案内ではないため、迷ったら使わないでください。
味噌の白いカビのようなものは?
各社は、白い膜を産膜酵母、白い粒をチロシンとして説明しています。においや見た目でカビと区別がつかないときは、使わないでください。
味噌は開封後どのくらいもつ?
マルコメは、衛生的に保存している場合、賞味期限まで食べられるとしています。ただし、開けた日を忘れたものや、常温に置いたものは、使わないでください。
色が変わりやすい発酵調味料には、賞味期限切れの塩麹や、賞味期限切れのしょうゆもあります。
まとめ
味噌の賞味期限は、未開封で表示どおり保存した場合の、おいしく食べられる期限です。
ハナマルキと神州一味噌は、期限後すぐ使えなくなるわけではないとしています。一方で、風味が変わるので、期限内に食べるよう案内しています。日数の線引きは見つかりませんでした。
色が濃くなる、白い粒ができるといった変化は、メーカーが通常の熟成として説明しています。ただし、期限切れのものへの案内ではありません。カビや異臭があれば使わず、迷ったら使いません。


