山菜の直売所や実家から、わらびをどっさりもらうことがあります。袋を開けると、あく抜きが必要と聞いたことはあっても、手順があいまいなままです。
分量や時間は出典ごとに違うので、表で並べます。
結論:生のわらびは、重曹か木灰でアク抜きしてから食べます。
- 農林水産省の資料は、湯どおしせず大量に食べると中毒を起こすことがある、としています。
- 公的機関やJAの資料にある方法は、重曹か木灰を使うものです。
- 「お湯だけ」でよいと書いた公的資料は、今回は見つかりませんでした。
- 分量は出典で差があります。迷うときは、農林水産省・群馬県と同じ、1kgに重曹3gにそろえます。
わらびにアク抜きは必要?
生のわらびに含まれる成分
日本特用林産振興会の解説では、わらびのプタキロサイドは、回腸・盲腸・膀胱などに癌を発症させる物質とされています。
農林水産省の消費者の部屋通信は、湯どおししないで大量に食べると、中毒を起こすことがあると書いています。この資料では、成分名は「ブタキロシド」です。
JAグループの解説も、わらびは必ずアク抜きが必要としています。若芽に発がん性物質が含まれることが、近年わかってきたとも書かれています。
アク抜きで、どこまで減るのか
日本特用林産振興会の解説では、灰や重曹を使ったアク抜きで、ほとんどが除かれるとされています。通常の食べ方なら問題ないと考えられている、という書き方です。
「ほとんど除かれる」という表現で、ゼロとは書かれていません。「アク抜きすれば安全」と言い切る資料は、見つかりませんでした。
食品安全委員会のサイトには、香港の食物安全センターが2014年に出した情報が載っています。国際がん研究機関は1987年に、わらびをグループ2B(ヒトに対する発がん性が疑われる物質)に分類したとされています。
同じ情報では、食べ過ぎないこと、適切に下ごしらえすること、食事のバランスを保つことが助言されています。
あく抜き済みの水煮はどうか
袋入りの水煮など、市販のあく抜き済みのわらびについては、今回確認した公的資料に記載が見つかりませんでした。
商品ごとに扱いが違う可能性があります。パッケージの表示を見て、調理前の手順が書かれていれば、それに従ってください。
アク抜きの前に:選び方と下準備
JAグループの解説では、新鮮なわらびの目印は、産毛がたくさんついていることです。茎は緑色で太く短く、首が上を向く前くらいのものがやわらかいとされています。
群馬県のページは、採ってきたらすぐ処理するよう書いています。買ったものも早めに処理しましょう。
容器は、わらびが全部浸かる大きさのものを選びます。湯を注ぐので、耐熱の容器が向いています。長さが余るときは、容器に合わせて切ってから並べてもかまいません。
※容器についての段落は、出典の記載ではなく一般的な注意です。
わらびのアク抜きのやり方:出典ごとの違い
3つの公開ページを並べます。重曹を使う方法が中心で、木灰は農林水産省と群馬県の資料にありました。
| 出典 | わらびの量 | 重曹・木灰 | 水・湯 | おく時間 |
|---|---|---|---|---|
| 農林水産省 消費者の部屋通信(2024年) | 1kg | 重曹3g または 草木灰約40g | 1.5Lに溶かす | 半日〜2日 |
| 群馬県 レシピページ | 1kg | 重曹3g または 木灰40g | 水8カップ分の湯 | 7〜8時間、そのあと水に一晩 |
| カゴメ ベジデイ | 400g | 重曹大さじ1 | 浸かる量の熱湯 | 一晩(約8時間以上) |
※各ページの記載を要約しました。木灰は、重曹の代わりに昔から使われてきた方法です。
基本の流れ
大まかな流れは共通です。
- わらびの根元か穂先を取ります。取る場所は出典で違います。
- 容器にわらびを並べ、重曹を振りかけます。
- 沸騰した湯を、わらびが全部浸かるまで注ぎます。
- 落としぶたをして、半日から一晩おきます。
- 湯を捨て、きれいな水にかえます。
- 黒っぽいアクが出なくなるまで、水をかえながらさらします。
下ごしらえで、群馬県のページは根元のかたい部分を取り、カゴメのページは穂先を取る、と書いています。出典に合わせて選んでください。洗う手順は、出典に書かれていません。
木灰を使う場合
木灰は、いまは手に入りにくい材料です。それでも農林水産省と群馬県の資料には、昔からの方法として載っています。
容器にわらびを入れ、灰をふりかけます。そこへ煮立った湯を、ひたひたになるまで回しかけ、7〜8時間おく方法があります。
そのあと、灰やアクを洗い流し、たっぷりの水に一晩つけます。
アク抜き後の水さらし
湯を捨てたら、きれいな水にかえます。黒っぽいアクが出なくなるまで、水をかえながらさらします。
さらす時間は出典で違います。20分ほどとする例と、一晩とする例があります。
重曹を入れる順番
出典によって、重曹を入れる順番が違います。重曹を先に振ってから熱湯を注ぐ方法と、湯に溶かしてからわらびを浸す方法があります。
JAグループの解説は、鍋で沸騰させた湯にわらびを入れ、重曹を加えて、火にかけてすぐ下ろす手順です。どれも熱いうちに重曹と合わせる点は共通しています。
分量の差に注意
分量の目安は、出典で大きく違います。
農林水産省と群馬県の資料は、わらび1kgに重曹3gです。カゴメのページは、400gに大さじ1です。
重曹大さじ1を約10gと仮定すると、1kgあたりでは農林水産省の数字の約8倍です。この換算は一般的な目安で、出典に書かれた数字ではありません。
差の理由は、出典からは読み取れませんでした。群馬県のページは、重曹や灰が多すぎたり、つけすぎたりすると、わらびが溶けて風味が落ちると書いています。
まずは農林水産省・群馬県と同じ1kgに重曹3gにそろえるか、商品に表示があればそれに従ってください。
「お湯だけ」でよいか
結論として、お湯だけで足りると書いた公的機関やJAの資料は、見つかりませんでした。
農林水産省の資料に載っているのは、草木灰か重曹を使う方法です。JAグループの解説も、重曹を使う手順です。
一方、香港の食物安全センターは、湯でゆでて湯を捨てる処理を助言しています。食品安全委員会のサイトに載った情報で、若葉を大量の湯で15分ゆでるか、10〜12分蒸してから調理する内容です。
ただし、日本の資料で重曹・灰と同等と確認できません。この記事では、重曹か木灰を勧めます。
苦みが残ったとき
農林水産省の資料には、苦みが残る場合は熱湯につけるとよい、という記載があります。味を整えるための対処で、安全性についての説明ではありません。
湯どおしやアク抜きをしないとどうなる
出典で確認できた影響は、大きく2つです。
1つ目は、中毒です。農林水産省の資料の条件は「湯どおししないで大量に食べる」ことです。
出典の言葉は「湯どおし」です。重曹や灰を使うアク抜きとの関係は、資料からは読み取れません。
2つ目は、味です。アクが残ると苦みが出ます。ただし、味についての詳しい記載は、今回の公的資料には多くありませんでした。
中毒の症状や、どのくらい食べると起きるかは、確認した公的資料には書かれていませんでした。目安の量も示せません。
食後に体調が悪くなったら、医療機関に相談してください。息苦しさや意識のもうろうなど重い症状は、119番です。救急車を呼ぶか迷うときは、#7119(実施地域あり)が使えます。
電子レンジなど別のやり方
電子レンジや圧力鍋でのアク抜きについて、公的機関やメーカーの公式ページは見つかりませんでした。
個人のブログやレシピ投稿サイトには、いろいろな方法が載っています。ただ、この記事では根拠にできる出典に限っているため、扱いません。
小麦粉を使う方法も、同じ理由で扱いません。確認できた範囲で、公的資料にある方法は、重曹と木灰です。
アク抜き後の保存
アク抜きが終わったら、すぐ使わない分を保存します。保存の資料で確認できたのは、冷蔵の方法だけでした。
JAグループの解説では、アク抜き後のわらびは水に浸けて冷蔵し、毎日水をかえて1週間ほどとされています。異変がなくても、日数を過ぎたら食べず、迷ったら捨てましょう。
アク抜き後は冷蔵庫で水に漬けて保存する、という記載は群馬県のページにもあります。日数の記載はありません。
冷凍や塩漬けについては、今回確認した公的資料に記載が見つかりませんでした。長く置きたいときの方法は、確認できた資料からは分かりません。
あく抜きしたわらびを使って、まとめて作り置きするなら、作り置きの日持ちの目安も確認しておくと安心です。
下処理の考え方は、こんにゃくのアク抜きにも通じます。こんにゃくのアク抜きが必要かどうかの記事も参考になります。
山菜を採るときの一般的な注意
ここからは、わらびに限らず、野草や山菜全般の注意です。出典にわらびの個別記載はありません。
農林水産省、厚生労働省、消費者庁は、そろって同じ注意を出しています。「食用と確実に判断できない植物は採らない、食べない」という内容です。
農林水産省のページでは、スイセンをニラやネギと、バイケイソウをオオバギボウシと間違えた事例が紹介されています。死亡例もあります。
判断できないときは、保健所に相談するよう案内されています。強い苦みや舌のしびれを感じたら、すぐに吐き出し、体調が悪ければ医療機関を受診してください。
栄養について
JAグループの解説によると、わらびには食物繊維が多く含まれます。カロテンとポリフェノールも含まれるとされています。
ただ、アク抜きの有無で栄養がどう変わるかは、確認できた資料に記載がありませんでした。
よくある質問
重曹の代わりに何を使えますか?
農林水産省と群馬県の資料にあるのは、木灰(草木灰)です。1kgあたり約40gが目安です。
アク抜きの時間は短くできますか?
短くできると書いた公的資料は、見つかりませんでした。出典の目安は、半日から一晩、長くて2日です。
おいしさを保つには、重曹を多めにしたほうがよいですか?
いいえ。群馬県のページは、多すぎるとわらびが溶けて風味が落ちると書いています。
アク抜きの湯は使い回せますか?
使い回しについての記載は、見つかりませんでした。アクが出た湯なので、捨てるのが一般的な扱いです。
子どもや高齢の家族にも出してよいですか?
年齢別の公的な目安は、見つかりませんでした。心配なときは、かかりつけの医師や保健所に相談してください。
まとめ
生のわらびは、重曹か木灰でアク抜きしてから食べます。目安は、農林水産省の資料でわらび1kgに重曹3g、半日〜2日です。
「お湯だけ」で足りると書いた日本の公的資料は、見つかりませんでした。分量は出典で差があるため、迷うときは1kgに重曹3gにそろえます。
アク抜き後は、水に浸けて冷蔵し、毎日水をかえて1週間ほどという案内があります(JAグループ)。迷ったら食べないでください。


