日曜の夜に大鍋で作ったカレーが、まだ半分残っている。火曜の夕飯にも出したいけれど、冷蔵庫で何日もつのだろう。鍋のままコンロに置いて寝てしまった朝も、迷います。
カレーは、食中毒の原因になりやすい料理として公的機関が名前を挙げています。鍋のまま置くと菌が増えやすく、メーカーも保存のしかたを案内しています。
結論:手作りカレーの冷蔵は、ハウス食品の目安で「翌日」まで。それより先は冷凍に
- 家庭で作ったカレーの保存日数について、公的機関の目安は見つかりませんでした
- ハウス食品は、あら熱をとってすぐ冷蔵庫に入れ、翌日を目安に早めに食べるよう案内している
- 冷凍の目安は、ハウス食品のページで「1か月以内」と「1週間以内」の2通りがある
- 鍋のまま常温で長く置かない。冬でも同じ(ハウス食品)。浅い容器に小分けして早く冷やす
- ウェルシュ菌の芽胞は加熱に強い。毎日火を入れても安全になるとは言えない(農林水産省)
カレーの日持ちの目安:冷蔵と冷凍
東京都は、前日調理は避け、加熱調理したものはなるべく早く食べるよう案内しています。家庭のカレーを冷蔵で何日もつか、という公的な日数は見つかりませんでした。
カレーのルウを作っているメーカーの公式ページでは、次の目安が示されています。ハウス食品もエスビー食品も、あら熱をとってから冷蔵庫に入れることを前提にしています。
| 出典 | 冷蔵 | 冷凍 |
|---|---|---|
| ハウス食品(よくいただくご質問) | 翌日を目安に、なるべく早めに | 日数の記載なし |
| ハウス食品(カレーの冷凍術。管理栄養士の和田玲子さん監修) | 調理した日の翌日までに食べきるなら冷蔵でもよい | 1か月以内。多少風味は落ちる |
| ハウス食品グループの情報サイト「from ハウス」 | 翌日食べるなら冷蔵でもよい | 家庭で調理したカレーは1週間以内に食べきる |
| エスビー食品(お客様相談センター) | 日数の記載なし。なるべく早めに食べきる | 冷凍できるが、おいしさを損なう場合がある |
※ハウス食品の「よくいただくご質問」は、ルウから作ったカレー・シチュー・ハヤシについての回答です。冷凍の日数は同じ会社のページでも違うため、両方を載せています。迷うときは短いほうを目安にしてください。
厚生労働省は、家庭の冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は−15℃以下に保つのを一般的な目安としています。常温に長く置いた、熱いまま鍋ごと入れた、といった場合は、表の目安は当てはまりません。
市販のレトルトカレーは、まず表示の賞味期限と保存方法に従います。賞味期限は、定められた方法で保存した場合に、品質が十分に保たれる期限です。
詳しくはレトルトカレーの賞味期限にまとめています。
カレーが傷みやすい理由:ウェルシュ菌
カレーで気をつけたい食中毒菌は、ウェルシュ菌(酸素の少ない鍋の底で増えやすい食中毒菌)です。東京都は、原因食品にカレー・シチュー・スープなどの煮込み料理を挙げています。
消費者庁も、子どもが好きなカレーや煮物で、ウェルシュ菌の食中毒が知られているとしています。
加熱しても生き残る「芽胞」
ウェルシュ菌は、環境が悪くなると芽胞(がほう:熱に強い殻のような状態)をつくります。農林水産省によると、芽胞は100℃で1時間の加熱にも耐えます。
そのため、鍋で長く煮込んでも生き残ることがあります。火を通したから菌がいない、とは言えません。
鍋のまま冷ますと増えやすい
農林水産省によると、ウェルシュ菌は12〜50℃の広い温度で増えます。料理を室温に長く置くと増えていきます。
ハウス食品グループの情報サイト「from ハウス」の説明はこうです。加熱後に鍋が室温くらいまで冷めると、芽胞が発芽して急に増え始めます。消費者庁も、ゆっくり冷める間に鍋の底などで増えるとしています。
大きな鍋ほど、中心まで冷めるのに時間がかかります。鍋ごと冷蔵庫に入れると、中心部に熱が残ることがあります。
においや見た目では分からない
大阪市は、食中毒の原因となる食品は、腐敗と違って味にも臭いにも変化がないとしています。食べても異常に気づかないことがあります。
ふだんどおりに見えるカレーでも、置いた時間と温度によっては菌が増えている可能性があります。においをかいで大丈夫そうだから食べる、という判断はできません。
食べたあとの症状
農林水産省によると、食べてから6〜18時間(平均10時間)で、腹痛や下痢が起こります。日本食品衛生協会は、嘔吐や発熱はまれで、多くは軽症で1〜2日で治るとしています。
カレーを日持ちさせる保存のしかた
公的機関とメーカーが共通して挙げるのは、小分けして早く冷やすことです。
- 食べる分を取り分けたら、残りはすぐに冷ます準備をする
- 底の浅い容器に小分けする。鍋のまま置かない
- 小分けしたら、あら熱をできるだけ早くとる
- あら熱がとれたら、すぐ冷蔵庫か冷凍庫へ入れる
- 翌日より先に食べる分は、最初から冷凍にまわす
熱いカレーは、金属製のバットに薄く広げると冷めやすくなります。保存袋に入れたら、袋ごと氷水に浸けて中心まで冷ます方法もあります。
熱いまま冷蔵庫に入れると、庫内の温度が上がります。ほかの食材の保存にも影響することがあります。
残った食品は、清潔な器具や皿を使って保存します。取り分けるおたまや容器も、清潔なものを使います。
温め直すとき
農林水産省は、おたまで鍋底までかき混ぜ、中心までしっかり加熱するよう案内しています。とろみのある料理も、よく混ぜるとまんべんなく温まります。
ハウス食品は、電子レンジだと加熱ムラが出ることがあるとして、鍋に移して温めるようすすめています。中心部まで再加熱して、熱いうちに食べます。
ただし、温め直しは食べる前の注意です。菌が増えたカレーを元に戻す方法ではありません。
食べないほうがよいサイン
次のような場合は、食べずに処分します。
- 鍋のまま常温で一晩など、長い時間置いていた
- 熱いまま鍋ごと冷蔵庫に入れ、中まで冷えるのに時間がかかった
- 冷蔵で、メーカーの目安(翌日)を大きく過ぎている
- いつ作ったか、どう保存したか思い出せない
厚生労働省は、時間が経ち過ぎたものは思い切って捨て、少しでも怪しいと思ったら食べずに捨てるよう呼びかけています。
酸っぱいにおいがする、表面に泡やカビがある、糸を引く、といったものも食べません。ただし、こうした変化がないから安全、という意味ではありません。
※泡・カビ・糸を引くなどのサインは、カレーについての公式な案内が見つからなかったため、一般的な注意として挙げています。
カレーを冷凍する場合
冷凍の目安は、ハウス食品の冷凍術のページで1か月以内です。同じグループの「from ハウス」は、家庭で作ったカレーは冷凍でも1週間以内としています。
厚生労働省によると、冷蔵や冷凍で細菌が死ぬわけではありません。冷凍するなら、作った日に早く冷まして入れます。
ファスナー付きの冷凍用保存袋に薄く平らに入れ、空気を抜く方法があります。容器なら、底の浅いものに1食分ずつ分けます。
じゃがいもはどうする?
じゃがいもは冷凍すると、解凍したときに水分が抜けて食感が落ちます。ハウス食品は次の3つの方法を紹介しています。
- 気になる場合は、じゃがいもを取り除いてから冷凍する
- カレーが熱いうちに、鍋の中でおたまで押してつぶす
- 冷凍する前提なら、じゃがいもは一緒に煮込まず、別に炒めて加える
食感が変わりやすいじゃがいもやにんじんは、つぶすのもおすすめです。じゃがいもの扱いは、食感のための工夫です。日持ちが延びるという意味ではありません。
解凍と温め直し
ハウス食品は、食べる半日前に冷蔵庫に移して自然解凍するか、流水解凍で半解凍にしてから鍋で温め直す方法をすすめています。かき混ぜながら、数回に分けて温めます。
電子レンジを使う場合は、途中で一度取り出して全体を混ぜ、また加熱します。
よくある質問
カレーは冷蔵で何日もつ?
公的機関の日数は見つかりませんでした。ハウス食品は、あら熱をとってすぐ冷蔵した場合で、翌日を目安に早めに食べるよう案内しています。
エスビー食品は日数を示さず、なるべく早めに食べきるよう案内しています。
翌日より先に食べる分は、冷凍にまわします。
2日目のカレーは食べていい?
作ってすぐ小分けにしてあら熱をとり、すぐ冷蔵庫に入れたものなら、ハウス食品の「翌日を目安になるべく早めに」の範囲です。鍋のまま常温で一晩置いたものは、この目安に当てはまりません。
常温で一晩置いてしまったら?
食べずに処分するのが安全です。ウェルシュ菌は室温で冷めていく間に増え、芽胞は加熱にも強いからです(農林水産省)。
ハウス食品は、冬でも鍋のまま常温で長時間保存しないよう案内しています。暖房で部屋の温度が下がりきらないこともあります。
毎日火を入れれば、鍋のままでも大丈夫?
そうとは言えません。農林水産省によると、ウェルシュ菌の芽胞は熱に強く、加熱調理しても生き残ります。
火を止めて鍋が冷めていくたびに、菌が増えやすい温度を通ります。毎日温め直すより、小分けして冷蔵・冷凍するほうが公的機関の案内にそった方法です。
冷凍するとき、じゃがいもは入れたままでいい?
冷凍はできますが、解凍後に食感が落ちます。扱い方は、上の「じゃがいもはどうする?」の3つの方法を参考にしてください。
食べてお腹をこわしたら?
腹痛や下痢が続く、水分がとれないなどのときは、早めに医療機関を受診します。受診するときは、いつ作ったカレーを、どう保存して食べたかを伝えます。
意識がおかしい、ぐったりしているなど重い症状のときは、ためらわず119番に電話します。受診するか迷うときは、#7119(救急安心センター。実施していない地域もあります)に相談できます。
子どもや高齢の人、妊娠中の人、持病のある人は、症状が軽く見えても早めに医療機関に相談してください。
※厚生労働省は、子どもや高齢の人など抵抗力の弱い人は注意が必要としています(O157など腸管出血性大腸菌についての記述)。カレーに限った公的な案内は見つからなかったため、一般的な注意として書いています。
東京都は、カレーのほかシチューやスープなど煮込み料理全般を原因食品に挙げています。煮物の日持ちも確認してください。
まとめ
家庭で作ったカレーの冷蔵日数について、公的機関の目安は見つかりませんでした。ハウス食品は、早く冷まして冷蔵した場合で翌日を目安としています。
カレーで注意したい食中毒菌は、ウェルシュ菌です。芽胞は加熱に強く、鍋のまま室温で冷めていく間に増えます。
残ったら浅い容器に小分けして早く冷まし、翌日より先の分は冷凍します。常温で長く置いたものや、迷うものは食べないでください。


参考
- ハウス食品「ルウから作った、カレーやシチュー・ハヤシを作り置きするとき、注意することはありますか。」
- ハウス食品「カレーの冷凍術:日持ち・おすすめ容器・じゃがいもは?」
- ハウス食品グループ「from ハウス」「一晩寝かせたカレーには要注意!!夏も冬も気を付けたいカレーの保存」
- エスビー食品「カレーを作り置きするとウェルシュ菌が心配です。どのように保存すればいいですか?」
- S&Bカレー.com「カレーの保存方法」
- S&Bカレー.com「カレーは冷凍保存できるの?」
- 農林水産省「煮込み料理を楽しむために:ウェルシュ菌による食中毒にご注意を!!」
- 農林水産省 近畿農政局「カレーの保存には注意が必要です!!」
- 消費者庁「知って安心、食品の注意点:カレーや煮物の作り置きに注意」
- 東京都保健医療局「ウエルシュ菌」(食品衛生の窓)
- 大阪市「食中毒の種類と予防方法」
- 厚生労働省「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」
- 厚生労働省「家庭での食中毒予防」
- 消費者庁「期限表示(消費期限・賞味期限)」(PDF)
- 日本食品衛生協会「ウエルシュ菌食中毒」
