お得な大容量パックのハムを買ったものの、期限までに食べきれそうにない。お歳暮でもらったハムが冷蔵庫を占領している。冷凍しておけるなら助かる、と迷う場面です。
ハムの冷凍は、メーカーや団体で言い方が分かれます。冷凍の方法を案内している会社がある一方で、冷凍はおすすめしないとする案内もあります。
ロースハムやボンレスハムなどのスライスハムを中心に、生ハムも含めてメーカーや団体の案内をもとにまとめます。
結論:ハムは冷凍できるが、風味や食感は落ちやすい
- 日本ハムは、風味が損なわれる恐れはあるが衛生面で問題はないとしている
- 日本ハム・ソーセージ工業協同組合は、冷凍はあまりおすすめできないとしている
- 冷凍する場合の目安は約1か月(日本ハム、ニチレイフーズ)。生ハムも約1か月(ニチレイフーズ)
- 冷凍は期限内に。解凍は冷蔵庫でゆっくり行い、再冷凍はしない
ハムは冷凍できる?
冷凍すること自体はできます。日本ハムは、冷凍すると本来の風味が損なわれる恐れはあるものの、衛生面で問題はないと答えています。
一方で、日本ハム・ソーセージ工業協同組合は、ハムの冷凍はあまりおすすめできないとしています。食感や風味が損なわれるおそれがあるためです。
日本ハムも、ギフトのハムについては冷凍をおすすめしていません。解凍すると水分が分離し、本来のおいしさが損なわれる恐れがあるといいます。
冷凍で風味が落ちるしくみ
日本ハムは、自社ブランド「森の薫り」の案内で理由を説明しています。冷凍するとハムに含まれる水分が凍ります。
解凍したときに、その水分がうま味と一緒に流れ出します。そのため食感や風味が損なわれる可能性があります。
同協同組合によると、脂肪が多いベーコンや香辛料を練り込んだソーセージは、冷凍の影響を受けにくいそうです。ロースハムのような水分の多いハムは、影響が出やすいと考えてください。
冷凍OKの表示がある商品もある
日本ハムは、冷凍保存をすすめる商品にはパッケージに「冷凍保存もOK」などと記載しているとしています。冷凍をおすすめしない商品は、その旨を記載しているそうです。
冷凍する前に、まずパッケージの表示を確認してください。
ハムの冷凍のしかた
冷凍は、賞味期限より前の新しいうちにします。日本ハムは、期限前であれば冷凍することもできると案内しています。
日本ハムのやり方は、1回分ずつ小分けにしてラップや保存袋でしっかり包み、できるだけ早く凍らせる方法です。ニチレイフーズは、アルミホイルも使う方法を紹介しています。
スライスハムを冷凍する
- ラップを広げ、1回に使う分(ニチレイフーズの例では2〜3枚)を並べる
- ラップで1枚ずつ包むように折りたたむ
- アルミホイルで包む。冷気が伝わりやすく、早く凍らせられる
- 冷凍用保存袋に入れ、空気を抜いて口を閉じる
1枚ずつ分けておくと、使う分だけ取り出せます。
ブロックのハムを冷凍する
- 使い道に合わせて切る。スープやチャーハンならさいの目、ハムステーキなら1〜2cmの厚切り(ニチレイフーズの例)
- ラップで小分けに包む
- アルミホイルで包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍する
生ハムを冷凍する
- ラップに1回に使う分ずつ並べ、折りたたんでぴったり包む
- アルミホイルで包む
- 冷凍用保存袋に入れ、空気を抜いて口を閉じて冷凍する
生ハムの手順は、ニチレイフーズの案内によります。
袋に冷凍した日を書いておくと、期間の目安を管理しやすくなります。これは一般的な工夫です。
未開封のパックのまま冷凍してもいい?
日本ハムは、未開封なら開封せずそのまま冷凍するよう案内しています。ギフトのスライスタイプも、パッケージのまま凍らせる方法を示しています。
ニチレイフーズも、スライスハムや生ハムは未開封ならパックのまま冷凍できるとしています。ただし解凍したら、1パックを一度に使いきる必要があります。
使いきれる量かどうかで、パックのままか小分けかを選んでください。
冷凍保存の期間の目安
家庭での冷凍期間について、公的機関の目安はありません。メーカーの目安は次のとおりです。
| 保存のしかた | 期間の目安 | 出典 |
|---|---|---|
| ハム(小分けして冷凍) | 1か月程度 | 日本ハム |
| スライスハム・ブロックハム | 1か月程度 | ニチレイフーズ |
| 生ハム | 1か月程度 | ニチレイフーズ |
※品質を保つための目安です。家庭の冷凍庫は開け閉めで温度が変わるため、早めに使いきってください。
袋の期限表示との関係
伊藤ハムによると、賞味期限は未開封で、決められた温度で保存した場合の期限です。開封後は早めに食べるよう案内しています。
日本ハムは、冷凍すると日持ちは長くなるとしつつ、賞味期限から1か月以内を目安に早めに食べるよう案内しています。
ここからは一般的な注意です。冷凍したから袋の日付が延びる、とは考えないでください。冷凍するのは期限内のものだけにします。
冷凍食品の保存期間の考え方は、冷凍食品の賞味期限の記事でもまとめています。
解凍のしかたと使い方
解凍は、冷蔵庫でゆっくり行います。食べる分だけ冷蔵室に移します。
電子レンジでの解凍は避けてください。水分が逃げて、味が損なわれやすいためです。
常温に置いたままの解凍も避けてください。これは一般的な注意です。
ニチレイフーズによると、さいの目切りや薄切りは凍ったまま調理に使えます。
- スープ・チャーハン:さいの目切りを凍ったまま入れる
- ハムエッグ:薄切りを凍ったままフライパンへ
- ハムステーキ・ハムカツ:厚切りを冷蔵庫で解凍してから焼く、揚げる
- 生ハム:冷蔵庫で解凍し、そのままやパスタ、サラダにのせる。凍ったまま切ってスープや煮込みにも使える
ソーセージも余っているなら、ウインナーの冷凍のしかたも参考にしてください。
冷凍に向かない食べ方・注意点
冷凍したハムは、解凍後に水分が出て、しっとり感が落ちやすくなります。サンドイッチやサラダでハムの食感を楽しみたいなら、冷蔵のうちに食べきるほうが確実です。
開封後のハムについて、日本ハムは「森の薫り」の案内で、その日のうちに食べきるのが一番としています。冷蔵で保存するなら、開封後2〜3日が目安です。
- 冷凍しても細菌は死なない。増えるのが止まるだけ(厚生労働省)
- 冷凍と解凍をくり返すと、食中毒菌が増える場合がある(厚生労働省)
- 一度解凍したものは再冷凍しない
- 賞味期限が切れたものは冷凍しない。日本ハムは「賞味期限よりも前であれば」冷凍できるとしている
- 開封して日がたったものも冷凍しない(一般的な注意)
生ハムと妊娠中の人:リステリアに注意
リステリアは、食中毒の原因になる細菌です。厚生労働省によると、欧米では生ハムなどの食肉加工品で集団食中毒が起きています。
リステリアは4℃以下の低温でも増えます。妊娠中の人や高齢の人、免疫が弱っている人は、少量でも発症し、重い症状になることがあります。
妊娠中に感染すると、胎盤や胎児に感染し、流産や新生児への影響が出ることがあるといいます。
厚生労働省は予防策として、次のことを挙げています。
- 開封後は、期限に関わらず速やかに食べる
- 冷蔵庫を過信しない
- 冷凍庫で保存する
- 加熱してから食べる(リステリアは加熱で死滅する)
ただし冷凍は、菌が増えるのを止めるだけです。冷凍しても細菌は死にません(厚生労働省「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」)。
農林水産省は、妊娠中は生ハムなど加熱せずに食べる加工食品を避けるよう呼びかけています。冷蔵庫で長く保存されたものが原因の食中毒が、海外で起きているためです。
妊娠中の人は、冷凍した生ハムも生のまま食べず、スープや煮込みなど中心まで加熱する料理に使ってください。
なお伊藤ハムは、生ハムは非加熱食肉製品の基準を守って製造しているとしています。そのうえで、心配ならかかりつけ医に相談するよう案内しています。
冷凍したハムが傷んでいるサイン
冷凍したハムの傷みのサインを示す公式の案内は、見つかりませんでした。ここからは一般的な注意です。
- 表面が白っぽく乾いている:冷凍焼け(乾燥や酸化で表面が変質すること)。風味が落ちている
- 袋の中に霜がたくさんついている:乾燥が進んでいるサイン
- 解凍後に、ぬめりや糸を引く感じがある
- 酸っぱいにおいや、いつもと違うにおいがする
ぬめりや異臭があるものは、加熱しても食べないでください。迷ったら食べないようにします。
よくある質問
ハムは冷凍できる?まずくならない?
冷凍はできます。日本ハムは、衛生面で問題はないとしています。
ただ、解凍すると水分と一緒にうま味が流れ出し、風味や食感が落ちることがあります。スープやチャーハンなど、加熱する料理に使うと気になりにくくなります。
ロースハムは冷凍できる?
できます。1回分ずつラップで包み、保存袋に入れて冷凍します。目安は1か月程度です(日本ハム、ニチレイフーズ)。
生ハムは冷凍できる?
ニチレイフーズは、生ハムの冷凍方法を紹介しています。1回分ずつラップで包み、約1か月が目安です。
解凍は冷蔵庫で行います。妊娠中の人は生のまま食べず、加熱する料理に使ってください。
冷凍したハムはどのくらいもつ?
日本ハムとニチレイフーズは、1か月程度を目安としています。公的機関の目安はありません。
賞味期限が切れたハムを冷凍してもいい?
期限が切れたものは冷凍しないでください。日本ハムは、賞味期限より前であれば冷凍できると案内しています。
冷凍しても菌は死なず、傷みかけたものが元に戻ることもありません。
解凍したハムを、また冷凍してもいい?
再冷凍はしないでください。厚生労働省は、冷凍と解凍をくり返すと食中毒菌が増える場合があるとしています。
まとめ
ハムは冷凍できますが、解凍すると水分が出て、風味や食感が落ちやすくなります。日本ハム・ソーセージ工業協同組合は、冷凍はあまりおすすめできないとしています。
冷凍するなら期限内に、1回分ずつラップで包んで保存袋へ。目安は1か月程度です。生ハムも同じように冷凍できます。
解凍は冷蔵庫でゆっくり行い、再冷凍はしないでください。妊娠中の人は、生ハムを加熱して食べます。



