塩蔵わかめは生で食べられる?塩抜きの方法と時間

塩蔵わかめの食べ方(食材の困りごと辞典)

冷蔵庫に塩蔵わかめの袋がある。みそ汁にするほどでもないけれど、きゅうりと合わせて酢の物にしたい。そんなとき、火を通さずにそのまま食べていいのか迷います。

判断の手がかりは、製造のときの湯通しと、袋の表示です。塩抜きの時間や戻しすぎ、茎わかめの扱いも順に見ていきます。

結論:湯通し塩蔵わかめは、塩抜きすれば加熱せずに食べられる。ただし塩抜きは必須

  • 湯通し塩蔵わかめは、湯通しして冷やし、塩漬けしたもの(農林水産省、消費者庁資料)
  • 戻した後はサラダや酢の物、和え物にできる(農林水産省)
  • 袋のままでは使えない。水を替えながら塩を抜く(農林水産省、宝海草)
  • 袋の名称が「湯通し塩蔵わかめ」か「塩蔵わかめ」かと、使用方法の表示を確かめる
目次

塩蔵わかめは生で食べられる?

農林水産省の「にっぽん伝統食図鑑」は、塩蔵わかめは水を替えながら戻して使うとしています。

戻した後の食べ方は、サラダ、酢の物、和え物、みそ汁などです。しゃぶしゃぶ、天ぷら、炒め物にもできます。

ここでいう「生で」は、塩抜きの後に火を通さない、という意味です。わかめ自体は、製造の段階で一度加熱されています。

製造のときに湯通しされている

宮城県の伝統的な製法では、海水を沸かした湯に数十秒通します。そのあと海水をかけ流して急いで冷やします。

そのあと塩もみをして24時間以上塩漬けし、塩を落として脱水します。茎の部分を取り除く「芯抜き」もこの段階で行います。

岩手県の野村海産は、自社の商品について説明しています。とったばかりのわかめを90℃以上の湯に30〜60秒通し、流水で冷やしてから塩漬けする方法です。

「湯通し塩蔵わかめ」と「塩蔵わかめ」は別のもの

食品表示のルールでは、2つの名称が区別されています。消費者庁の会議資料と徳島県の表示解説にある定義は、次のとおりです。

名称定義
湯通し塩蔵わかめわかめを湯通しし、すぐに水(海水を含む)で冷やしたものに、食塩を加えて脱水したもの
塩蔵わかめわかめ、または乾燥わかめを水で戻したものに、食塩を加えて脱水したもの

※定義は要約です。

日本わかめ協会は、湯通しの有無で色や香り、食感が変わるため、名称の区別を残すよう要望しています。この記事で「加熱せずに食べられる」としているのは、湯通し塩蔵わかめです。

使用方法は、湯通し塩蔵わかめを含む塩蔵わかめ全般の表示事項です。名称が「塩蔵わかめ」の商品は、特に使用方法の表示に従ってください。

「生わかめ」との違い

とれたての生わかめは褐色で、湯通しすると緑色に変わります(日本わかめ協会資料)。徳島県産業国際化支援機構は、生わかめは湯通しして食べるよう案内しています。

一方、塩蔵わかめについては「塩を洗い流して」食べるよう案内しています。店頭で「生わかめ」と書かれた商品にも、湯通しして塩蔵したものがあります。名称の欄で確かめるのが確実です。

生で食べるときの下ごしらえ:塩抜き

塩蔵わかめは、袋から出したままでは使えません。わかめの加工会社・宝海草は「そのままではお使いになれません」と書いています。

宮城県十三浜のマルナカ遠藤水産は、湯通し塩蔵わかめの塩抜きを次のように紹介しています。

  1. 大きめのボウルにわかめを入れ、たっぷりの水に3分浸す
  2. 途中、1分おきに計2回、水を替える
  3. 水をしっかり切る

流水で水を流し続ける場合は、水を替えなくてよいとしています。塩気が少し残るくらいがちょうどよい、とも書かれています。

宝海草は、使う分だけ切り、塩を洗い流してから5分ほど水につける方法です。2〜3回水を替えると塩が抜けやすいとしています。

戻したら水気を切り、食べやすい長さに切ります。生の肉や魚を切った包丁やまな板は、洗ってから熱湯をかけて使います(厚生労働省)。

戻しすぎに注意

戻しすぎると、食感が損なわれます。

水につける時間で、固さを調整できます。固めが好きなら短めに、柔らかめが好きなら長めにします。

水につける時間は、会社やレシピで違います。マルナカ遠藤水産は3分、宝海草は5分ほどです。キリンのレシピは5〜10分、キッコーマンのレシピは15〜30分です。

味をみながら作業します。まずは短めにし、塩気と固さを確かめながら調整します。

生で食べるときの注意点

塩抜きしても塩分は残る

文部科学省の日本食品標準成分表では、塩抜きした湯通し塩蔵わかめの食塩相当量は100gあたり1.4gです。塩抜きしても、塩分はある程度残ります。

酢の物やサラダにするときは、合わせ酢やドレッシングの塩分も考えて量を決めます。

ヨウ素のとりすぎ

塩抜きした湯通し塩蔵わかめのヨウ素は、100gあたり810μgです(成分表)。耐容上限量は1日あたり成人3,000μg、妊娠中・授乳中の人は2,000μgです。子どもは1〜2歳300μg、3〜5歳400μg、6〜7歳550μgなど、年齢ごとに低く決められています。

※耐容上限量の数値は、医薬基盤・健康・栄養研究所のページ(2020年版の食事摂取基準による)から引用しています。最新の2025年版の値は厚生労働省の報告書で確認できます。ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料になるミネラルで、とりすぎると甲状腺の働きに影響が出ることがあります(同研究所)。耐容上限量は長い期間の平均的な摂取量で考える上限で、1日超えただけですぐ害が出るという意味ではありません(厚生労働省)。甲状腺の病気で治療中の人は、食べる量を主治医に相談してください。

衛生と体調

家庭での食中毒予防のポイントは、調理の前に手を洗う、器具を清潔に保つ、冷蔵が必要な食品はすぐ冷蔵庫に入れる、などです。

湯通し塩蔵わかめを生で食べることについての公的な注意は、見つかりませんでした。食感や色の好みで、戻した後にさっと熱湯を通す方法もあります(キッコーマンのレシピ)。

食べて具合が悪くなったら、医療機関に相談します。意識がおかしい、嘔吐がひどいなど重い症状のときは、ためらわず119番に連絡します。

受診すべきか迷うときは、日本中毒情報センターの「中毒110番」にも相談できます。一般向けは大阪072-727-2499、つくば029-852-9999です。

生で食べるおすすめの食べ方

わかめサラダ(キリン)

キリンのレシピでは、塩蔵わかめを洗って水に5〜10分つけて塩抜きし、加熱せずに使います。キャベツやきゅうり、玉ねぎと合わせ、ポン酢のドレッシングをかけます。

わかめのシャキシャキした歯ごたえが決め手です。

きゅうりとわかめの酢の物(ミツカン)

ミツカンのレシピは、戻したわかめ40gを食べやすく切り、塩もみしたきゅうりと「カンタン酢」で和えます。わかめを加熱する手順はありません。

このレシピは「わかめ(もどしたもの)」と書かれていて、塩蔵か乾燥かは指定されていません。

熱湯をかける作り方もある(キッコーマン)

キッコーマンの酢の物は、塩蔵わかめを戻した後、熱湯をかけて水にとります。色がよくなり、身が締まり、余分な塩分や磯くささが抜けるとしています。

加熱せずに使うか、熱湯をかけるかは、レシピによって分かれます。食感や色の好みで選べます。

茎わかめは生で食べられる?

湯通し塩蔵の茎わかめも、塩抜きすれば加熱せずに使うレシピがあります。マルナカ遠藤水産は、塩抜きした「湯通し塩蔵くきわかめ」を、みょうがや生姜と和える中華風の和え物を紹介しています。

茎わかめは葉より厚いため、塩抜きに時間がかかります。同社の基本の方法は次のとおりです。

  1. 大きめのボウルにたっぷりの水を張り、茎わかめを2時間浸す
  2. 途中、30分おきに計3回、水を替える
  3. 急ぐときは、沸騰したお湯に浸けると5〜10分で塩が抜ける(この方法はお湯で加熱されます)

同社のピクルスのレシピでは、食べやすく切ってから、10分ごとに水を替えて30〜40分で塩抜きしています。こちらは煮立てた漬け液を注ぐので、生のままではありません。

乾燥わかめとの違い

主流の乾燥カットわかめは、湯通し塩蔵わかめを塩抜きし、切って乾燥させたものです(ほんぽ)。

理研ビタミンによると、同社のわかめは水で戻すと重さが10倍以上に増えます。乾燥したまま一度にたくさん食べると、おなかがゆるくなることがあると注意しています。

種類使う前の下ごしらえ
湯通し塩蔵わかめ水を替えながら塩抜きする
乾燥カットわかめ水で戻す
生わかめ(とれたて)湯通しする

加熱したほうがよい場合

生わかめ(湯通ししていないもの)は、湯通ししてから食べます(徳島県産業国際化支援機構)。名称が「塩蔵わかめ」で使用方法に加熱の指示があるものも、表示に従います。

色をより鮮やかにしたいときや、磯の香りを抑えたいときは、熱湯をかける方法があります。

保存と開封後

塩蔵わかめは、保存方法の表示が義務づけられています(徳島県)。まずは袋の保存方法と期限を確認します。

野村海産の湯通し塩蔵わかめは冷蔵保存で、賞味期限は6か月です。宝海草は要冷蔵(10℃以下)または冷暗所保管としています。

岩手県大槌町の河合商店は、開封後も使う分以外は塩がついたままにしておくようすすめています。塩を抜いた後は保存性が下がるため、必要な分だけ戻してすぐ使います。

冷凍できるかは、商品によって案内が異なります。個別の商品の表示を確認してください。

変なにおいがする、ぬめりが強い、カビがあるものは食べないでください。

※傷みのサインは公式の案内が見つからなかったため、一般的な注意として挙げています。

よくある質問

塩蔵わかめは生で食べられる?

湯通し塩蔵わかめは、塩抜きの後に火を通さず使えます。水を替えながら、商品やレシピにより数分〜30分ほどつけて塩を抜きます。

茎わかめは生で食べられる?

湯通し塩蔵の茎わかめは、塩抜きした後に火を通さず和え物にするレシピがあります(マルナカ遠藤水産)。茎は厚いので、塩抜きは葉より長くかかります。

塩抜きしたわかめは、そのままサラダにしていい?

農林水産省は、戻した後の食べ方としてサラダや酢の物を挙げています。水気をよく切ってから使います。

塩抜きに失敗して柔らかくなったら?

戻しすぎると食感が損なわれます(宝海草)。柔らかくなったものは、みそ汁やスープに使うとよいでしょう。

※汁物に使うのは一般的な工夫です。

野菜を生で食べるときの注意は、生で食べられる野菜のまとめで確認できます。

まとめ

湯通し塩蔵わかめは製造のときに湯通しされていて、塩抜き後はサラダや酢の物に使えます。

塩抜きは、水を替えながら、商品やレシピにより数分〜30分ほどです。戻しすぎると食感が落ちるので、様子を見ながら時間を調整します。

袋の名称と使用方法、保存方法の表示を確かめてから使います。塩分とヨウ素を考えて、食べる量はほどほどにします。

参考

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