サラダに少しきのこを足したい。でも、えのきやエリンギを生のまま入れていいのか、手が止まる。
生で食べられるきのことしてメーカーが紹介しているのは、新鮮なマッシュルームです。まいたけ、えのき、しめじ、エリンギ、なめこ、しいたけなどは、加熱して食べるのが基本です。
結論:生で食べられるのは新鮮なマッシュルーム。ほかのきのこは加熱して食べる
- 新鮮なマッシュルームは生食できる。収穫後3〜4日くらいが目安(ユキグニファクトリー)
- マッシュルーム以外のきのこは必ず加熱を、と案内している。生のままだとおなかを壊すことがある(ユキグニファクトリー)
- まいたけは生だと口の中がイガイガすることがある(ユキグニファクトリー)。きくらげも加熱して食べる(農林水産省)
- 生や加熱不十分のしいたけで、皮膚炎が起こることがある(マルホ、宮地良樹先生監修/食品安全委員会が紹介した仏ANSESの情報)
- 食用と確実にわからない野生のきのこは、採らない・食べない(厚生労働省、農林水産省)
生で食べられるきのこはある?
スーパーで買えるきのこのうち、メーカーが生食できるとしているのはマッシュルームです。農林水産省の広報誌でも、サラダに使う食べ方が紹介されています。ほかのきのこは、加熱して食べます。
マッシュルームは生で食べられる
ユキグニファクトリー(雪国まいたけ)は、新鮮なマッシュルームは生食が可能だとしています。保存状態にもよりますが、収穫後3〜4日くらいは大丈夫だそうです。
カゴメも、新鮮なものは生食でき、サラダなどに使われると説明しています。農林水産省の広報誌aff(2021年10月号)でも、薄くスライスしてサラダに使う食べ方が紹介されています。
ニチレイフーズは、生で食べるならホワイト種がおすすめとしています。山形県のマッシュルーム生産者、舟形マッシュルームは「生で食べられる唯一のキノコ」と紹介しています。
マッシュルーム以外のきのこは加熱して食べる
ユキグニファクトリーのQ&Aは、まいたけ、えりんぎ、ぶなしめじ、マッシュルームなど同社の商品についてのものです。「きのこは生で食べられますか?」には、必ず加熱調理するよう答えています。
生のままだと、おなかを壊すことがあるためです。同じページで、マッシュルームだけは新鮮なら生食できるとしています。
えのき、なめこ、しいたけは、このQ&Aで名指しされていません。個別に生で食べてはいけない理由を示した公的な資料も、見つかりませんでした。
メーカーはきのこ全般に加熱を案内しています。マッシュルーム以外は、加熱して食べるのが安心です。
まいたけ:生だと口の中がイガイガすることも
ユキグニファクトリーによると、まいたけには「たんぱく質分解酵素」が含まれます。生で食べると、口の中がイガイガしたように感じることがあります。
加熱すれば、酵素の影響はなくなるとしています。
ホクトは、この酵素が卵のたんぱく質を分解するため、生のまいたけを入れた茶碗蒸しは固まらないと説明しています。入れる前に100℃のお湯で30秒以上湯通しする方法を案内しています。
きくらげ:生も乾燥も加熱して食べる
農林水産省の広報誌affは、きくらげについて、加熱してから食べるよう書いています。生のきくらげと乾燥きくらげを紹介した項目の中の記述です。
なめこ:和え物にするときもゆでる
新潟県のなめこ生産者、割野きのこ組合は、和え物やサラダの下ごしらえを案内しています。沸騰したお湯で2分ほど火を通す手順です。安全上の理由は書かれていません。
しいたけは生焼けにも注意
しいたけ皮膚炎は、しいたけを食べたあとに起こる皮膚の炎症です。皮膚科の薬を扱うマルホのサイト(京都大学皮膚科名誉教授・宮地良樹先生監修)で説明されています。
同サイトによると、生しいたけや加熱不十分なしいたけを食べることで発症します。食べて数時間から数日後に、強いかゆみと赤み、細かい水ぶくれが出ます。
マルホのサイトでは、しいたけに含まれる成分が関係していると考えられるものの、原因は不明としています。
一方、フランスの食品安全機関ANSESとDGCCRFは、2021年4月9日に注意を呼びかけています。DGCCRFは、フランスの競争・消費・不正抑止総局です。原因はレンチナン(しいたけに含まれる成分)で、加熱で分解されるとしています。
生、乾燥、粉末のどれでも、中心部まで加熱することが大切だとしています。食品安全委員会が海外情報として紹介したものです。しいたけは生で食べず、中まで火を通します。
トリュフは?
トリュフは削って料理にかける使い方が知られていますが、生食について公的機関や業界団体の案内は確認できませんでした。この記事では扱いません。
生のマッシュルームの下ごしらえ
- かさが開いていない、新鮮なものを選ぶ
- ペーパータオルで表面の汚れをふき取る
- 黒い土のようなものがついていたら、ふき取るか、使う直前に洗う
- 石づきの端を薄く切り落とす
- 薄切りなど、レシピに合わせて切る
- 変色が気になるときは、レモン汁をふりかける
ニチレイフーズは、マッシュルームをひっくり返し、かさが開いていなければ鮮度がよく生食に向く、としています。
洗うかどうかは、案内に少し違いがあります。ニチレイフーズは、水に濡らすと風味や食感が損なわれるとして、ふき取る方法です。
黒い土のようなものは、ピートモス(覆土)です。ユキグニファクトリーのQ&Aには、布巾でふき取るという回答があります。同じページに、ついている場合は料理の直前に洗う、という回答もあります。
ユキグニファクトリーと舟形マッシュルームは、水洗いすると菌糸の隙間に水分が入り、風味や食感がやや損なわれるとしています。
切り口はすぐに変色します。レモン汁をかけると防げます。酢を使う案内もあります。
※生で食べるものは、生の肉や魚を切った包丁やまな板と分けて扱ってください。使ったあとは洗ってから熱湯をかけるよう、厚生労働省が案内しています。
生で食べるときの注意点
鮮度のよいマッシュルームを使う
マッシュルームは収穫後も成長し、かさが開き、ひだが淡い灰色から暗い褐色に変わります(ユキグニファクトリー)。
ユキグニファクトリーは、ひだが黒くなったものも食べられるとし、加熱して食べれば問題ないとしています。舟形マッシュルームも、成熟の証で食べられると答えています。
かさが開いていなければ鮮度がよく、生食に向きます。生で食べるなら、かさが閉じた新しいものを選びます。ひだが黒くなったものは、加熱料理に回すと安心です。
※「ひだが黒くなったものは加熱料理に」は、上の案内から考えた一般的な工夫です。
野生のきのこは採らない・食べない
対象は、食用と確実に判断できない野生のきのこです。厚生労働省と農林水産省は「採らない、食べない、売らない、人にあげない」よう呼びかけています。
厚生労働省によると、毒きのこによる食中毒は令和6年(2024年)に19件起き、1人が亡くなっています。インターネットの画像検索で食べられると判断するのも危険だとしています。
農林水産省によると、夏の終わりから秋にかけて、ツキヨタケやクサウラベニタケによる食中毒が多く報告されています。厚生労働省は、ツキヨタケはしいたけ、ヒラタケ、ムキタケと間違えやすいとしています。
ツキヨタケを食べると、30分〜1時間で嘔吐や下痢などが起こります(厚生労働省)。
新潟市は、言い伝えを信じないよう呼びかけています。柄が縦に裂ける、ナスと一緒に料理する、虫が食べている、はどれも食べられる目安になりません。
食べて具合が悪くなったら
厚生労働省は、きのこを食べて体調が悪くなったら、すぐに病院で診察を受けるよう案内しています。食べたきのこが残っていれば、捨てずに受診時に伝えます。
意識がおかしい、嘔吐が止まらないなどのときは、ためらわず救急車(119番)を呼びます。
受診すべきか迷うときは、日本中毒情報センターの「中毒110番」に相談できます。一般向けの大阪中毒110番は072-727-2499、つくば中毒110番は029-852-9999です。どちらも365日24時間対応です。
しいたけを食べたあとに強いかゆみや赤みが出たときは、皮膚科に相談します。マルホのサイトでは、治療で2〜3日ほどで回復するとしています。
※「食べたきのこを捨てずに伝える」は、公的機関の文言を確認できなかったため一般的な注意として書いています。
子どもや体調のよくない人が食べるとき
生のマッシュルームについて、子ども、高齢の人、妊娠中の人に向けた公的な案内は見つかりませんでした。
こうした人が食べるときや体調がよくないときは、加熱したものを選ぶと安心です。
※加熱したものを選ぶ、は公的な案内ではなく一般的な注意です。
生で食べるおすすめの食べ方
ニチレイフーズは、生のマッシュルームを使うレシピを4つ紹介しています。どれもレモン汁をふりかけてから使います。
- ガーリックマリネ:2〜3mm厚さの縦薄切りを、にんにく入りのオリーブ油と和える
- カプレーゼ風:4〜5mm厚さの縦薄切りを、ミニトマトやバジルと合わせる
- くるみのサラダ:縦4つ割りを、くるみやオリーブと和える
- さば缶ディップのせ:縦2つ割りに、さば水煮缶と玉ねぎのディップをのせる
農林水産省のaffでも、新鮮なものを薄くスライスしてサラダに使う食べ方がすすめられています。
加熱したほうがよい場合
マッシュルーム以外のきのこは、加熱して食べます。なめこおろしの下ごしらえについては、公式の案内で確認できませんでした。
冷凍したマッシュルームは、生ではなく加熱して食べるよう、ニチレイフーズが案内しています。
加熱するときの工夫
ホクトのサイトの記事(管理栄養士・望月理恵子さん監修)は、ビタミンB群は水に溶け出すとしています。煮すぎず、汁ごと食べる料理がすすめられています。
鮮度・傷みの見分け方
カゴメが挙げる、新鮮なマッシュルームの特徴です。
- かさがすべすべしていて、よく締まっている
- 表面の割れや傷が少ない
- ホワイト種は、軸が短くて太く、切り口が変色していない
保存は冷蔵です。舟形マッシュルームとユキグニファクトリーは、2〜5℃の冷蔵なら1週間くらいは大丈夫としています。ただし生で食べる目安は、ユキグニファクトリーの「収穫後3〜4日くらい」です。
ビニール袋に入れず、風通しのよい容器で野菜室に入れると長持ちします。
- ぬめりが出ている
- カビが生えている
- 酸っぱいにおいや、いつもと違うにおいがする
こうしたものは食べないでください。迷ったら食べないようにします。
※傷みのサインは公式の案内が見つからなかったため、一般的な注意として挙げています。
よくある質問
生で食べられるキノコは?
メーカーが生食できるとしているのは、新鮮なマッシュルームです(ユキグニファクトリー、カゴメ、ニチレイフーズ)。農林水産省の広報誌でも、サラダに使う食べ方が紹介されています。ほかのきのこは加熱して食べます。
マッシュルームは生で食べられる?
新鮮なものは食べられます。かさが開いていないものを選び、汚れをふき取って薄く切ります(ニチレイフーズ)。
エリンギは生で食べられる?
加熱して食べます。ユキグニファクトリーは、えりんぎを含む同社のきのこについて、マッシュルーム以外は必ず加熱調理するよう案内しています。
なめこは生で食べられる?
加熱して食べます。なめこに限った生食の公的な案内は見つかりませんでした。なめこ生産者の割野きのこ組合は、和え物やサラダでも、沸騰したお湯で2分ほど火を通す手順を案内しています。
えのきやしめじは生で食べられる?
加熱して食べます。えのきに限った生食の案内は見つかりませんでした。ユキグニファクトリーは、ぶなしめじを含むきのこ全般に加熱を案内しています。
生のままだとおなかを壊すことがあるためです。
まいたけは生で食べられる?
加熱して食べます。ユキグニファクトリーによると、生だと口の中がイガイガしたように感じることがあります。加熱すれば酵素の影響はなくなるとしています。
マッシュルームの切り口が茶色くなったら?
マッシュルームの切り口は、すぐに変色します。レモン汁をかけると防げます(舟形マッシュルーム、カゴメ)。
ほかの野菜の生食については、生で食べられる野菜のまとめで紹介しています。
まとめ
生で食べられるきのことしてメーカーが紹介しているのは、新鮮なマッシュルームです。かさが閉じたものを選び、汚れをふき取って薄く切ります。
まいたけ、えのき、しめじ、エリンギ、なめこ、しいたけ、きくらげなどは、加熱して食べます。しいたけは生や生焼けで皮膚炎が起こることがあるため、中まで火を通します。
野生のきのこは、食用と確実にわからなければ採らない・食べないでください。食べて体調が悪くなったら、すぐに医療機関を受診します。


参考
- ユキグニファクトリー「商品に関するQ&A」
- ユキグニファクトリー「マッシュルームの豆知識」
- 舟形マッシュルーム「マッシュルームQ&A」
- ニチレイフーズ「マッシュルームサラダ:加熱不要の生で食べるレシピほか」
- カゴメ「おいしいマッシュルームの選び方と、上手に保存する方法」
- 農林水産省 aff 2021年10月号「詳しく知って楽しく食べよう!おいしいきのこ図鑑」
- ホクト「よくお寄せいただくご質問」
- ホクト「きのこの栄養素を余すことなく吸収できる効果的な調理法とは?」
- 割野きのこ組合「なめこの食べ方」
- マルホ「シイタケ皮膚炎」
- 食品安全委員会 食品安全関係情報「ANSES、しいたけを十分加熱して摂取するように再度の注意喚起」
- 厚生労働省「食中毒予防:毒キノコに要注意!」
- 厚生労働省「自然毒のリスクプロファイル:キノコ:ツキヨタケ」
- 農林水産省「野生きのこによる食中毒を防ぐために」
- 新潟市「きのこ食中毒について」
- 厚生労働省「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」
- 日本中毒情報センター「中毒110番・電話サービス(一般専用)」
