作り始めてから、レシピの粉が家にないと気づいたときの答えです。とろみ付けや揚げ衣なら、粉の種類を替えてもほぼ問題ありません。パンやスポンジケーキのようにふくらみを左右する料理では、分量や組み合わせを調整します。
小麦粉は、含まれるたんぱく質の量で薄力粉・中力粉・強力粉に分かれます。日清製粉ウェルナによると、たんぱく質の多い強力粉はパン、少ない薄力粉はお菓子に向いています。
代わりに使えるかどうかは、このたんぱく質がどれだけ必要な料理かで決まります。小麦のたんぱく質は、水とこねると粘りと弾力のあるグルテンになり、生地のふくらみを支えます。米粉との置き換え、準強力粉の作り方、クッキーと天ぷら粉の代わりまで順に説明します。
結論:料理なら粉を替えても同量、お菓子とパンは調整が必要
- 米粉⇔小麦粉:とろみ・揚げ衣・スポンジケーキは同量、クッキーは米粉を8割に。パンはそのままでは置き換えられない
- 準強力粉:強力粉7〜8割+薄力粉2〜3割で作れる(200gなら強力粉150g+薄力粉50g)
- 天ぷら粉がない:薄力粉100g+卵1個+冷水150mLで衣になる
小麦粉・米粉の代用 早見表
| ないもの | 代わりに使うもの | 分量 | 向いている料理 |
|---|---|---|---|
| 小麦粉(薄力粉) | 米粉 | 同量(クッキーは8割) | グラタン・天ぷら・スポンジケーキ |
| 米粉 | 薄力粉 | 同量 | とろみ・揚げ衣・焼き菓子 |
| 準強力粉 | 強力粉+薄力粉 | 7〜8:2〜3 | フランスパン・ハード系のパン |
| 薄力粉 | 強力粉・中力粉 | 同量 | クッキー・スコーン・料理全般 |
| 強力粉 | 薄力粉 | 同量(パンには不向き) | 打ち粉・とろみ・ムニエル |
| 天ぷら粉 | 薄力粉+卵+冷水 | 100g+1個+150mL | 天ぷら・かき揚げ |
| 薄力粉 | ホットケーキミックス | 同量(砂糖を減らし、ベーキングパウダーは入れない) | マフィン・スコーン |
※米粉の分量は cotta の置き換え比較、準強力粉の割合は cotta、天ぷら衣は日清製粉ウェルナのレシピによります。米粉は大さじ1で約7g、薄力粉は約8〜9gと軽さが違うので、置き換えるときははかりで重さを合わせてください。
1. 米粉と小麦粉:料理は同量、お菓子は種類で変える
米粉にはグルテンがないため、グルテンを使わない料理ならそのまま小麦粉の代わりになります。農林水産省によると、米粉はシチューのとろみ付けにそのまま振り入れてもダマになりにくい粉です。天ぷらの衣にすると小麦粉より油を吸いにくく、サクサク感が長く続きます。
グラタンのホワイトソースやシチューのとろみ、揚げ物の衣は、同じ重さで置き換えてください。
お菓子は、種類によって結果が分かれます。製菓材料店 cotta の比較では、スポンジケーキとパウンドケーキは薄力粉と同量の米粉で作れました。一方、クッキーは同量だと生地がまとまらずひびが入り、米粉を薄力粉の8割に減らすとまとまったとしています。
- スポンジケーキ・パウンドケーキ:同量
- クッキー:米粉を8割(薄力粉100gなら米粉80g)
- パン:小麦粉のレシピのままでは置き換えられない
パンが難しいのは、ふくらみを支えるグルテンがないうえ、吸う水の量がまったく違うためです。農林水産省によると、小麦粉のパン生地は水が粉の約60%です。米粉では、100%前後の水が必要になります。
米粉でパンを作るなら、米粉パン用のレシピと「パン用」と書かれた米粉を使ってください。なお、パン用米粉にはグルテンを加えた商品もあり、その場合は添加した旨が表示されています。小麦を避けたいときは「ノングルテン」表示を確認します。
2. 準強力粉:強力粉と薄力粉を混ぜて作る
準強力粉はフランスパンなどハード系のパンに使う粉で、たんぱく質の量が強力粉と薄力粉の中間です。
cotta によると、たんぱく質の量は準強力粉が10.5〜12.0%です。強力粉は11.5〜13.0%、薄力粉は6.5〜8.0%です。強力粉7〜8割に薄力粉2〜3割を混ぜれば代用できます。
レシピの分量別に、間をとった「強力粉3:薄力粉1(7.5:2.5)」で計算すると次のようになります。
| 準強力粉 | 強力粉 | 薄力粉 |
|---|---|---|
| 200g | 150g | 50g |
| 250g | 190g | 60g |
| 300g | 225g | 75g |
皮をパリッと、中を軽くしたいときは、薄力粉を3割寄りにします。しっかり噛みごたえを出したいときは、強力粉を8割寄りにします。
強力粉だけで作ることもできます。cotta の焼き比べでは、皮の引きが強く、中はふんわり軽い食感でした。
3. 強力粉で薄力粉の代わり:クッキーと料理なら
日清製粉に取材したgrapeの記事では、薄力粉の代わりに強力粉を使うのはおすすめできないと紹介されています。グルテンが多いと、ふんわりさせたいお菓子が固く、ふくらみにくくなるためです。
ただ、仕上がりの違いを受け入れられる料理やお菓子なら使えます。cotta の検証によると、強力粉や中力粉でもクッキー・スコーン・シュー生地は作れて、ザクザクした食感になります。スポンジケーキやパウンドケーキは、ふくらみが悪くなるので不向きです。
ムニエルの打ち粉、ルウのとろみ、お好み焼きのように、ふくらみを気にしない料理なら同じ量で置き換えてかまいません。
4. 薄力粉で強力粉の代わり:パンは難しい
パンは、強力粉のグルテンが網目を作り、発酵のガスを閉じ込めることでふくらみます。薄力粉ではこの網目が弱いため、同じレシピで焼いても高さが出ません。目の詰まった重いパンになります。
パンには、薄力粉だけで代用しないでください。
パン以外なら、置き換えられる場面は多くあります。日清製粉ウェルナは、打ち粉には強力粉が適しているものの、中力粉・薄力粉も使えるとしています。
5. 薄力粉と天ぷら粉:どちらも代わりになる
天ぷら粉がないときは、薄力粉で衣を作れます。日清製粉ウェルナのレシピでは、薄力粉100gに対して卵1個と水150mLです。
卵と冷たい水を先に混ぜ、そこに薄力粉を加えます。粉が少し残るくらいで、混ぜるのをやめます。混ぜすぎるとグルテンができて衣が重くなるので、揚げる直前に作ってください。
卵もない場合は、薄力粉を冷水だけで溶いてもかまいません。米粉を冷水で溶いても衣になります。
反対に、薄力粉がなくて天ぷら粉がある場合は、料理の衣やとろみ付けなら同量で代わりになります。cotta の検証では、多くの薄力粉のお菓子でも代用できたとしています。ただし、天ぷら粉にはベーキングパウダーなどを加えた商品もあるので、原材料を確認してから使ってください。
揚げ物の間は、油を火にかけたままその場を離れないでください。油から煙が出てきたら温度が上がりすぎているので、すぐに火を止めます。
6. ホットケーキミックス:お菓子の薄力粉代わりに
ホットケーキミックスは、薄力粉に砂糖とベーキングパウダーを混ぜた粉です。マフィンやスコーンの薄力粉を、同じ重さのミックスに替えます。砂糖は減らし、ベーキングパウダーは入れずに作ります。
料理のとろみや衣には、甘みが出るので向きません。逆にホットケーキミックスを薄力粉で作る分量は、ホットケーキミックスの代用にまとめました。
料理別:おすすめの代用
| 料理 | いちばんのおすすめ | 次点 |
|---|---|---|
| グラタン・シチューのとろみ | 米粉(同量) | 強力粉(同量) |
| 天ぷら | 薄力粉+卵+冷水 | 米粉+冷水 |
| 唐揚げ・ムニエルの粉 | 米粉 | 強力粉 |
| クッキー | 強力粉・中力粉(同量) | 米粉(8割) |
| スポンジケーキ・パウンドケーキ | 米粉(同量) | — |
| フランスパン | 強力粉+薄力粉(3:1) | 強力粉のみ |
| 食パン | —(強力粉が必要) | パン用米粉と米粉パンのレシピ |
よくある質問
クッキーの薄力粉を片栗粉に替えられる?
cotta は、型抜きクッキーを片栗粉で作るのはすすめられないとしています。生地がもろくて形が保てないためです。スノーボールのような厚みのある丸いクッキーなら、片栗粉でも作れます。
片栗粉をほかの粉で代用する方法は、片栗粉の代用で紹介しています。
米粉と上新粉は同じもの?
どちらもうるち米の粉ですが、仕上がりが違います。上新粉は団子などに使う粒の粗い粉で、米粉はお菓子やパン用に細かく挽いた粉です。小麦粉の代わりにするなら、「米粉」と書かれた製菓・料理用の商品を選んでください。
中力粉がないときは?
中力粉は、たんぱく質が薄力粉と強力粉の中間の粉です。薄力粉と強力粉を同量ずつ混ぜると、近い性質になります(割合は目安です)。うどんを打つならもちもち感を出すために強力粉寄りに、お好み焼きなら薄力粉寄りにしてください。
まとめ
粉の代用で見るべきは、その料理にグルテンが必要かどうかです。とろみや揚げ衣なら、米粉・強力粉・薄力粉を同量で入れ替えてかまいません。クッキーは米粉を8割に、準強力粉は強力粉3:薄力粉1で作れます。
パンだけは、強力粉か、米粉パン専用の粉とレシピを用意してください。



