お菓子の材料を量っていて、ベーキングパウダーがないと気づいたとき。重曹が家にあれば、代わりにふくらませられます。
ベーキングパウダーは、重曹(炭酸水素ナトリウム)に酸性剤とでん粉を混ぜた膨張剤です。膨張剤とは、ガスを出して生地をふくらませる材料のことです。でん粉は、成分どうしが湿気で反応しないように加えられている粉です。
日清製粉ウェルナによると、アルカリ性の重曹と酸性剤を組み合わせています。そうすることで、ガスが出るタイミングと量を調整しているそうです。
重曹だけでもガスは出ます。ただ、酸がないぶん苦みと色が残るので、ヨーグルトやレモン汁で酸を補います。
膨張剤そのものがない場合は、イーストの発酵か、卵を泡立てた空気でふくらませます。お菓子・料理に使う場合に絞って、量と注意点をまとめました。
結論:重曹をベーキングパウダーの半量にし、酸を足す
- ベーキングパウダー小さじ1 → 重曹小さじ1/2弱(約1.5〜2g)
- 苦みと黄ばみを抑えるため、レモン汁か酢を小さじ1、または牛乳の一部をヨーグルトに替える
- 重曹は「食用」「食品添加物」と表示されたものを使う。掃除用は使わない
ベーキングパウダーの代用 早見表
ベーキングパウダー小さじ1(約3〜4g)の代わりに使う量の目安です。
| 代用 | ベーキングパウダー小さじ1の代わりに | ふくらみ | 向いているもの |
|---|---|---|---|
| 重曹+レモン汁・酢 | 重曹小さじ1/2弱+レモン汁小さじ1 | ○ | パンケーキ・マフィン |
| 重曹+ヨーグルト | 重曹小さじ1/2弱+牛乳の一部をヨーグルトに | ○ | パンケーキ・蒸しパン |
| 重曹だけ | 重曹小さじ1/2弱 | ○(横に広がる) | どら焼き・黒糖蒸しパン |
| ドライイースト | 粉100gに約2.4g(発酵が必要) | ◎ | 蒸しパン・パンケーキ |
| 卵白のメレンゲ | 卵白を泡立てて混ぜる | ◎(時間がたつとしぼむ) | スフレパンケーキ・スポンジ |
| ホットケーキミックス | 薄力粉+ベーキングパウダーをまとめて置き換え | ○ | マフィン・スコーン |
※重曹の量は、東京ガス ウチコト(ベーキングパウダーの半量)と共立食品の目安から計算しました。共立食品の目安は、重曹が粉の1〜1.5%、ベーキングパウダーが2〜2.5%です。ドライイーストは、日清製粉ウェルナのパンのレシピ(粉125gにドライイースト3g)から計算しました。
※ベーキングパウダーの小さじ1杯は、計量表によって3〜4gです。重曹は約4gです。
1. 重曹:量はベーキングパウダーの半分
重曹はベーキングパウダーの主成分です。そのため、少ない量で同じくらいのガスが出ます。
東京ガス ウチコトでは、ベーキングパウダーの指定量の半分(粉の重さの1〜1.5%)を目安としています。共立食品の目安では、焼き菓子に使う量は小麦粉に対して重曹1〜1.5%、ベーキングパウダー2〜2.5%です。ほぼ同じ比率です。
- ベーキングパウダー小さじ1 → 重曹小さじ1/2弱
- ベーキングパウダー4g → 重曹2g
- 薄力粉100gのレシピ → 重曹1〜1.5g(小さじ1/4〜1/3)
重曹だけで使うと、仕上がりが次のように変わります。
- 苦みが出る:加熱で分解してできる炭酸ナトリウムが残るため。入れすぎるほど強くなります。
- 黄色っぽく、焼き色が濃くなる:アルカリ性の影響で焼き色の反応が進むため。
- 横に広がる:重曹は横に、ベーキングパウダーは縦にふくらむ性質があります。
重曹は、どら焼きや甘食のような素朴なお菓子や和菓子に向きます。黒糖や茶色いお菓子なら、色の変化も目立ちません。
重曹には掃除用として売られているものもあります。食品に使えると表示された「食用」「食品添加物」の重曹を選んでください。
2. 重曹+レモン汁・酢:苦みを抑えたいとき
重曹の苦みと黄ばみは、酸を加えて中和すると抑えられます。東京ガス ウチコトは、レモン汁や酢を小さじ1程度加えると、色が白く風味もよくなるとしています。
酢のにおいは、焼くとほとんど気にならなくなります。繊細な味のお菓子には、レモン汁が向いています。
酸と重曹は、混ぜるとすぐにガスが出始めます。液体を加えたら手早く混ぜて、すぐに焼くか蒸してください。
3. 重曹+ヨーグルト:パンケーキや蒸しパンに
ヨーグルトも酸を含みます。重曹と組み合わせると、苦みを抑えながらふくらませられます。重曹の苦みは、ヨーグルトやレモンなど酸性の素材を加えて中和できます。
ヨーグルトだけではガスは出ないので、ベーキングパウダーの代わりにはなりません。重曹と一緒に使うのが前提です。
レシピの牛乳の半分ほどをプレーンヨーグルトに替え、重曹はベーキングパウダーの半量にします(ヨーグルトの割合は目安です)。生地がかたくなったら、牛乳を少し足してください。しっとりした、少し酸味のある仕上がりになります。
4. ドライイースト:時間があるとき
ドライイーストは、酵母が発酵して出すガスで生地をふくらませます。日清製粉ウェルナのパンのレシピでは、粉125gにドライイースト3g(小さじ1)を使います。生地が約2倍にふくらむまで発酵させています。
この比率だと、粉100gにドライイースト約2.4gです。
ベーキングパウダーと違って、混ぜてすぐには焼けません。40℃くらいのぬるま湯や牛乳で生地を作り、暖かい場所で発酵させる時間が必要です。
蒸しパンやパンケーキは、イーストを使うともっちりしたパンに近い食感になります。クッキーやパウンドケーキのように、発酵させる工程がないお菓子には向きません。
5. 卵白のメレンゲ:膨張剤がひとつもないとき
重曹もイーストもない場合は、卵を泡立てた空気でふくらませます。卵白に砂糖を加えて、ツノが立つまで泡立ててください。ほかの材料を混ぜた生地に、泡をつぶさないようさっくり合わせます。
スポンジケーキのように、全卵を白っぽくもったりするまで泡立てる方法もあります。
泡は時間がたつと消えるので、混ぜたらすぐに焼きます。パンケーキなら、ふたをして弱火で焼きましょう。厚みのあるスフレのような仕上がりになります。
6. ホットケーキミックス:薄力粉ごと置き換える
ホットケーキミックスには、薄力粉とベーキングパウダーと砂糖が入っています。マフィンやスコーンなら、レシピの薄力粉とベーキングパウダーをミックスにまとめて置き換えられます。
砂糖が入っているぶん、レシピの砂糖は減らしてください。ミックスの中身の割合はホットケーキミックスの代用で計算しています。
料理別:おすすめの代用
| 作るもの | いちばんのおすすめ | 次点 |
|---|---|---|
| パンケーキ・ホットケーキ | 重曹+ヨーグルト | 卵白のメレンゲ |
| マフィン・スコーン | ホットケーキミックス | 重曹+レモン汁 |
| どら焼き | 重曹だけ | 重曹+酢 |
| 蒸しパン | 重曹+ヨーグルト | ドライイースト |
| スポンジケーキ | 全卵を泡立てる | 卵白のメレンゲ |
| クッキー | 入れずに作る | 重曹を少量 |
よくある質問
重曹の代わりにベーキングパウダーを使うなら?
逆の置き換えは、重曹の指定量の2倍くらいのベーキングパウダーが目安です(東京ガス ウチコト)。重曹小さじ1/2のレシピなら、ベーキングパウダー小さじ1になります。
どら焼きのように重曹の色と風味を生かすお菓子は、焼き色が薄くなります。あっさりした仕上がりです。
ベーキングパウダーの代わりに薄力粉を増やせばいい?
薄力粉にはふくらませる働きがないので、増やしても代わりにはなりません。
クッキーのようにベーキングパウダーが少量のレシピなら、入れずに作ってもかまいません。その場合は少し平たく、かための食感になります。ふくらみが必要なお菓子は、この記事の重曹やメレンゲを使ってください。
重曹を入れすぎるとどうなる?
苦みやえぐみが強くなり、生地が黄色から茶色っぽく変わります。量はベーキングパウダーの半量を超えないようにしてください。はかりがあれば、粉の1.5%以内に収めます。
アルミフリーのベーキングパウダーでも同じ量?
アルミニウムを含まない商品も、ふくらませるしくみは同じです。ただし、ガスが出る速さや量は商品によって違います。パッケージに書かれた使用量に合わせてください。
まとめ
ベーキングパウダーがなければ、まずは重曹を半量。苦みが気になるお菓子は、レモン汁か酢を小さじ1、またはヨーグルトを組み合わせます。
膨張剤がひとつもなければ、卵の泡立てかドライイーストで補えます。すぐに焼きたいなら卵、時間があるならイーストです。



