一橋大学、東京科学大学(旧・東京工業大学)、神戸大学、筑波大学。この4校は、旧帝大ではありません。
旧帝大は、北海道・東北・東京・名古屋・京都・大阪・九州の7校だけです。戦前に「帝国大学」だった大学のことで、あとから増えることはありません。
それでも「旧帝大 一橋」「旧帝大 神戸」といった検索が、合わせて月に約1,000回あります。
入っていないことは決まっているのに、入っていないかどうかを毎月確かめに来る人がいます。
この記事では、4校がなぜ旧帝大ではないのか、難しさではどうなのかを整理します。
旧帝大と間違えられる4校
| 大学 | 旧帝大か | もとになった学校 | 偏差値(前期) |
|---|---|---|---|
| 一橋大学 | 違う | 東京商科大学 | 65.0〜67.5 |
| 東京科学大学 | 違う | 東京工業大学・東京医科歯科大学 | 65.0(理工系) |
| 神戸大学 | 違う | 神戸商業大学 | 52.5〜62.5 |
| 筑波大学 | 違う | 東京文理科大学・東京教育大学 | 57.5〜65.0 |
偏差値は河合塾のボーダー偏差値で、2027年度入試用の前期日程の数字です。医学部医学科は除いています。
旧帝大7校の偏差値は55.0〜67.5です。4校とも、その帯の中か、上のほうにいます。
一橋は、いちばん低い学部でも65.0。旧帝大の下限より10高い数字です。
数字だけ見れば、4校は旧帝大に入っていても誰も驚きません。それでも入っていません。旧帝大は、難しさで選ばれた7校ではないからです。
なぜ旧帝大ではないのか
理由は1つです。戦前に、帝国大学ではなかったからです。
帝国大学は、国が作った総合大学でした。法学も医学も工学も文学も、1つの大学で全部やる。そういう大学を、全国に7つ置きました。
一橋と神戸のもとになったのは、商業を教える大学です。
東京科学大学のもとになった東京工業大学は、工業を教える大学でした。
どれも国が作った大学ですが、1つの分野を専門にする単科大学でした。
総合大学である帝国大学とは、別の種類として作られています。
つまり、格が下だから入らなかったのではありません。種類が違ったので、名前が違いました。
一橋は「商業のいちばん上」として、東京工業大学は「工業のいちばん上」として、帝国大学とは別の列に並んでいたのです。
その「帝国大学」という名前が、戦後80年たって、難しい国立大学をまとめる言葉として使われるようになりました。すると、別の列にいた大学が「入っていない」ことになります。
入試の難しさで作った名前ではないものを、入試の難しさの目印に使っているので、こういうことが起きます。
旧帝大そのものについては、旧帝大とはにまとめています。
神戸大学は、「旧帝大じゃないのに」と言われ続けている
神戸大はなぜ旧帝大じゃないのに、準一流なの?
神戸大は、旧帝大じゃないのに、特に文系では旧帝大の名古屋大、東北大、九州大、北大より評価が高い。
経済・経営学部に至っては、阪大に匹敵するとも言われています。
なぜ、神戸大は、旧帝大でもないのに、こんなにランクが上なのでしょうか?
神戸大学は旧帝大ではないのに、文系では地方の旧帝大より評価が高いと言われる、経済や経営は大阪大学に匹敵するとも言われる、なぜなのか、という質問です。
この質問には、神戸大学の置かれた立場がよく出ています。「旧帝大じゃないのに」。神戸大学をほめる文章には、たいていこの前置きが付きます。
4校の中で、いちばん旧帝大と比べられるのが神戸大学です。「旧帝大 神戸」という検索は、一橋と同じくらいあります。
理由は、場所でしょう。神戸のすぐ隣に、京都大学と大阪大学という2つの旧帝大があります。
近畿には旧帝大がすでに2つあったので、3つめは置かれませんでした。
京都・大阪・神戸の国立3校は「京阪神」とまとめて呼ばれます。3校のうち2校が旧帝大で、1校だけが違います。
神戸大学は、仲間に入っているのに肩書きだけが足りない、という位置にずっといます。
私は京都大学の出身ですが、京都にいたころ、神戸大学が旧帝大でないことを気にしている人は、周りにいませんでした。気にしているのは、たいてい神戸大学の側です。
肩書きというのは、持っている人は忘れていて、持っていない人だけが覚えています。
一橋と東京科学大は、気にしていない
一橋大学と東京科学大学も旧帝大ではありませんが、こちらはあまり気にされていません。
一橋は、前期日程のいちばん低い学部でも65.0です。東京科学大学の理工系も65.0でそろっています。
東京大学と京都大学を除けば、ほとんどの旧帝大より入りにくい大学です。旧帝大に入っていなくて困ることが、とくにありません。
この2校には、別の呼び名も用意されています。東京大学・京都大学・一橋大学・東京工業大学をまとめた「東京一工」です。旧帝大7校よりも狭い、いちばん上の4校という意味で使われます。
旧帝大に入れてもらう必要がないので、自分たちの入る別の名前ができました。
旧帝大に入っているかどうかを気にするのは、入っていないと損をする位置にいる大学だけです。一橋は、入っていなくても損をしません。
足りないなら足せばいい、という呼び名
4校が旧帝大に入っていないのは不便だ、と考える人は多かったようです。そこで、足した呼び名がいくつも作られました。
| 呼び名 | 中身 |
|---|---|
| 旧帝一工 | 旧帝大7校+一橋・東京工業 |
| 旧帝一工神 | 旧帝大7校+一橋・東京工業・神戸 |
| 国立難関10大学 | 上と同じ10校 |
| 東京一工 | 東京・京都・一橋・東京工業 |
旧帝大に一橋と東京工業大学を足して「旧帝一工」。さらに神戸を足して「旧帝一工神」。
語呂は、足すたびに悪くなっています。
知恵袋には、この10校についての質問もありました。
「国立難関10大学」について
最近の大学受験では、旧帝大の北海道・東北・東京・名古屋・京都・大阪・九州に、
一橋・東京工業・神戸を加えたものを、「国立難関10大学」というらしいですが、
ここに東京医科歯科、さらに旧帝大と同格の筑波が入らないのはなぜでしょう?
旧帝大に一橋・東京工業・神戸を加えたものを国立難関10大学と言うらしいが、なぜ筑波が入らないのか、という内容です。
7校で足りないので3校を足したら、今度は「なぜあの大学は入らないのか」が始まります。
筑波を足せば、次は横浜国立や千葉の番です。線をどこに引いても、線のすぐ外にいる大学が出てきます。
旧帝大という言葉が便利なのは、歴史で決まっていて、誰にも動かせないからです。
動かせる線を引いたとたん、動かしたい人が現れます。筑波大学は、TOCKYという別の大学群に入っています。
日本の外にも、帝国大学が2つあった
「旧帝大 台湾」「旧帝大 海外」という検索もあります。
戦前、帝国大学は日本の外にも2つ作られました。台湾の台北帝国大学と、朝鮮の京城帝国大学です。
国内の7校と合わせて、帝国大学は全部で9校ありました。
台北帝国大学は、戦後、今の国立台湾大学になりました。京城帝国大学は戦後に廃止されました。
施設は、今のソウル大学校のもとになった大学に引き継がれたとされています。
ふつう「旧帝大」と言うときは、国内の7校だけを指します。「七帝大」という呼び名もあります。9校あったものを7校と数えているわけですが、受験の話をするぶんには、7校で困ることはありません。
- 旧帝大の序列:7校の中での順番
- 旧帝大は化け物なのか:世間での扱い
- 旧帝大は上位何パーセントか:7校別の人数
まとめ
- 一橋・東京科学大・神戸・筑波は旧帝大ではない。旧帝大は7校だけで、増えない
- 理由は、戦前に帝国大学ではなかったから。一橋・神戸は商業、東京工業は工業の単科大学だった
- 一橋は前期のいちばん低い学部でも65.0。旧帝大の下限(55.0)より10高い
- いちばん旧帝大と比べられるのは神戸大学。隣に京都大学と大阪大学がある
- 台湾と朝鮮にも帝国大学があり、全部で9校だった
旧帝大に入っていない4校は、劣っているから外されたわけではありません。80年以上前に、別の種類の学校として作られただけです。その区別が今も残っていて、毎月およそ1,000回検索されています。
日本の大学の序列は、今の偏差値と、80年前の看板の両方でできています。

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