日常生活

【書評】ケーキの切れない非行少年たち

ケーキの切れない非行少年たち

この本を超要約すると、

「非行の一因は『認知能力の弱さ』にある」
「認知能力を鍛えるトレーニングを小学校から始めるべき」

ということです。

 

こんにちは。nerio(@neriopapa)です。

 

今回取り上げる本は「ケーキの切れない非行少年たち」(新潮新書)。

 

丸いケーキを3つに等分することのできない非行少年のケースから、非行の原因として認知機能の弱さがあるのではないか?という仮説のもと、小学校低学年のうちから認知機能を鍛える必要性を訴える本です。

要約

ケーキが3等分できないのは認知機能が弱いから

ここに丸いケーキがあります。3人で平等に食べるとしたらどうやって切りますか?

 

と聞かれたら、たぶん多くの人は円の中心から線を引き、3等分すると思います(ベンツのロゴマークのような感じ)。

しかし、非行少年の中には、円に対して縦や横に線を引いてしまい、うまく切れないケースがあるそうです。

 

筆者曰く、これの原因が「認知機能の弱さ」にあるということです。

軽度の知的障害や境界知能は人口の十数%いる?

「境界知能」はIQ70~84を指し、人口の十数パーセントいるとされています(小学校で言うとクラスに5人くらい)。

 

明らかな知的障害ではないので気付きにくいのですが、認知機能が若干弱いことがあり、特別な支援が必要でありながら見過ごされがちだといいます。

境界知能が原因でいじめにあうことも

境界知能の子は不器用だったりうまく感情を表せなかったりするので、いじめにあうことも多いそうです。

 

また、認知機能の低い子はあらゆることを歪んで捉えてしまいがち。

例えば、誤った被害感情を持つ(目が合っただけなのに”睨まれた”とか、悪口を言われている、嫌われている)傾向があるとのことです。

従来の矯正教育が効かない

非行少年の矯正プログラムは「認知機能が正常であること」が前提になっています

 

一方で非行少年は『見る』『聞く』『想像する』などの認知機能の弱さがあるケースが多く、矯正プログラムに十分な効果がない場合があります。

このような場合は、まず認知機能を少しずつトレーニングするところから開始することによって、初めて「反省」「後悔」といった感情を理解できるようになります。

ターニングポイントは「小学校2年生」

境界知能の人は小学校2年生あたりから勉強についていけなくなることが多いそうで、このタイミングで注意していれば気付くことができます。

 

しかし、現在は小学校で認知教育をほとんどしていないため、せっかくのタイミングを逃しているのが現状であり、その教育が必要であると筆者は訴えます。

認知機能のトレーニングとは何をするものなのか

例えば、数の感覚と注意力を鍛えるための問題。

りんごの数を数えることに集中し過ぎるとチェックを付け忘れてしまうので、集中と抑制を働かせることが重要。

コグトレ_記号さがし

このトレーニングによって「刺激に対する抑制」を身に付けることができます。

 

また、身体的な不器用さを持った子どもに対するトレーニングというものもありました。

 

こういったトレーニングを小学校の教育に盛り込むことによって、最終的には非行に走ることを抑制することができるのでは、と筆者は述べています。

教育観点からの気付き

褒めればいいわけではない

例えば、子どもが週に1回必ず忘れ物をしてしまうケース。

 

忘れ物をすることを叱るのではなく、「他に褒められるところを見付けて褒めよう」ということがよく言われます。

 

しかし、いくら褒めても忘れ物が改善されないのであれば意味がない

忘れ物をどうすればなくせるのか?を子どもと一緒に考えて行動することが必要。

 

自己評価が低いこと自体が悪ではない

自己評価が低いことが問題なのではなく、「自分自身を正しく評価できていない」ことが問題であることを認識すべき。

 

大人になっても上司に叱られたりイヤなことがあったりして一時的に自己評価が低くなることはよくあるわけです。

自分にできないことを子どもに押し付けるのはやめよう、と言われて私はハッとしました。

感想

非行少年の一因が障害にある、のデータがない

本書の前半8割くらいは実例を上げまくり、非行の一因が障害(境界知能や軽度の知的障害など)にあることが書かれています。

 

しかし、それを裏付ける数値データはほとんど出てこず、筆者の経験談が中心となっています。

 

できれば主張を裏付けるデータがあったらさらに説得力が増すのにな、と思いました。

 

ただ、これは筆者が悪いのではなく、そもそもそのようなデータを国や自治体が取っていないことが問題なのだと思います。

非行少年に対するIQ検査のようなものももっと高度化するべきだし、それによって得られたデータを活用すればもっと良い対策が考えられるでしょう。

コグトレは家でもできる

例えば境界知能の子どもに対して認知トレーニングをして、認知機能が鍛えられたとしたらその子どものIQは上がるのでしょうか?

 

この本にはその答えが直接書かれていなかったのですが、認知機能が上がるのだとしたら、たぶんIQが上がってるのだと思います。

 

小学校低学年のうちにもしコグトレを必須科目化したら、(知的障害の子どもを除いて)境界知能の子どもが減り、ひいては非行少年の数も減る、ということなのでしょう。

 

といってもコグトレを必須化するのも難しいので、私は家でもやってみようと思いました。

子どもにやらせるというより、一緒に楽しむイメージですね。息子がもう少し大きくなったらやってみよう。

まとめ

序盤はくどいくらいに筆者の体験談が並べられるので読み進めるのが大変ですが、だからこそ後半の「コグトレが大事」という主張に説得力が生まれています。

 

子どもの教育に関わっている方は勿論なのですが、子どもを持つパパ・ママにおすすめの本だと思います。

 

 

それでは、nerio(@neriopapa)でした。